BL

□愚問
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6日目…その日も学校を休むつもりだった。
学校にいけば必然的に跡部さんと会ってしまうから。
何を言われるか考えただけで学校へ行くのが怖くなる。
それなのに今日は朝…リムジンと言う名の跡部さんの送迎車が来ていた。
それはつまり学校に来いということだろう。
俺は仕方なく制服に着替え家を出た。
「おはようございます。」
挨拶をすると跡部さんは何も言わずにクイッと乗れ、という合図をした。
何も話さない、ただそれだけで怖くてすぐにでも過呼吸になってしまいそうだった。

静かに車に乗ると向かい側に座った跡部さんが口を開いた。
「お前は俺のことが好きか?」
それは前に俺がした質問。
俺は何も言えなかった。
嫌われたのにまだ好きだなんて…ウザすぎる奴だから。
だから俺は顔を俯けて黙っていた。
「日吉、俺はお前に言いたいことがある。」
ビクッと反応を示す。
フラレる。
そう直感してしまった。
「俺の言いたいことはお前を困らせるかもしれない。それでも、聞いてくれるか?」
俺は静かに頷いた。
音がほとんど聞こえないはずのリムジンの音がやけに大きく聞こえる。
「日吉は俺の初めて、だ。こんなにも…頭から日吉という存在が離れなくなったのは。」
どこかで聞いたフレーズ。
その瞬間、跡部さんに気持ちを伝えた日の俺が言った言葉が頭を過った。
『アンタは俺の初めてです。跡部景吾という存在が離れなくなったのは。』
ゆっくりと顔をあげれば真っ直ぐ俺を見つめる姿が眼に入る。
「これがどういう意味か分かるか?」
『これがどういう意味かわかりますか?』
あの日と同じセリフ。
俺は続けた。
あの日跡部さんが俺に言った言葉を。
『わからねぇ。言ってみろよ。お前の気持ち。』
「わかりません。言ってください。跡部さんの気持ち。」
多分俺は不安そうな眼をしている。
声は震えていたかもしれない。
もしかしたら涙ぐんでいたかも。
それでもあの日言われた言葉を俺は確かに言った。
跡部さんは震える俺の手に自らの手を重ね、静かに唇を重ねた。
触れるだけのキス。
唇が離れた頃に跡部さんは掠れた声で囁いた。
「好きだ。」
甘く俺の耳に残る確かな言葉。
跡部さんに抱きしめられながらただ甘い余韻に浸った。
身体にのこる熱い感触。


俺たちはただ


不器用なだけなのかもしれない。






end...













あとがき
シリアスからの甘甘みたいな。
ホントシリアスは描いてるこっちが悲しくなるorz
ハッピーエンドで終われてよかったです←



2011/4/20/日向.
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