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□近くて遠い隣の席
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近くて遠い隣の席




ここ3年間。
俺の隣には仁王雅治という存在が常にいた。
それはとても近い距離にあって…でも遠くにいた隣だった。
今こうやって仁王と隣同士で座る迄には障害が多すぎたよ。
ずっと隣の席で学校生活を送っていたのに、なのに仁王と俺の距離は一向に縮まらなかった。
だからさ…俺、まだ信じらんないんだ。
仁王が隣でずっと手を繋いでいることが。
「にお、遠すぎたよ。お前。」
「そんなことない。ブン太が遠くにおいとっただけじゃき。」
誰もいなくなった放課後の教室で紅い夕日に照らされながら2人だけで話す。
「…そっかな?ずっと近くにいたはずなのにさ…今がはじめて隣に座ってるみたいなんだ。」
「じゃあ、あれか。ブン太の旅は遠いとか思っとったが案外近うて拍子が抜けたか?」
柔らかく笑う仁王に俺も緩く笑みを返す。
「隣の席ってさ結構遠かったんだよ。」
「ははっ、その通りやの。」
俺は繋ぐ手にもう一度力を込めた。
それに応えるみたいに仁王が握って…。
嬉しくてたまらない。
この温もりが、距離が。
「におの隣には俺がちゃんと、いる?」
「当たり前。」
くすぐったい甘い衝動。
人はこの衝動に恋と名前を付けた。
だから…今の俺は
「恋してんだ、仁王に。」
「ははっ、今更やの。当の昔からしとった。」
近い筈の距離を随分と遠回りしてしまったけど、それもまた一興。
俺は仁王の隣が好きだから。
距離なんていくらでもどうとでもなるんだ。




end...





提出≫赤髪の妙技師が世界一










あとがき
ニオブンですヾ(=^▽^=)ノ久しぶりのニオブン゜+。(*′∇`)。+゜
やはりブン太を書くのは好きです。

そして赤髪の妙技師が世界一の方に企画参加させていただきました。
素敵な3B企画ありがとうございました。
2011/6/3/日向.

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