**短 篇 集**
□*…運命的な再開?…*
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それが起こったのは、ドミニオンからクルー達が、アークエンジェルへ避難して来た時だった…
運命的な再開?
攻撃の合間をくぐり抜け、奇跡的に助かりアークエンジェルへと避難してきたドミニオンクルー達は、一人を抜かし、肩身狭くアークエンジェル内で停戦する時を迎えた。
ピンク頭の猛者と歌われた過去の歌姫は、戦場で指揮官として花開き、オーブのじゃじゃ馬お姫様に至っては、自ら戦場を駆け巡る始末…
近い未来の女帝達が、生まれた瞬間でもあった。
そんな中、艦内展望室より戦火を眺める一人の少女が居た。
一機のMSを見つめ、不安そうに顔を歪ませた。
その時…
ザフトからの停戦放送が響いた。
艦内が騒めく。
少女は、身を翻しブリッジへと向かった。
『艦長ッ、マリュー艦長!!』
ブリッジの扉を無理矢理開き中へと入り込む…
『フ…フレイさん!?』
「フレイッ??」
かつて、一緒に行動しあった仲間たちは、目を丸くして少女を見つめた。
紅く長い髪を振り乱し、肩で息をしながら管制席に片手をつき、息が整うと、不安気にも躊躇ったように、辺りを見渡し
『終わったんですよね…? キラは? キラと話がしたいの!!』
『フレイさん…キラ君は、まだ…機体の破損が酷くて、カガリさん達が迎えに行ってるわ…』
『ぢゃあ…』
『キラ君は…、機体回収と共に、エターナルに…』
『エターナル…に…』
マリュー・ラミアスの話を聞きながら、彼女は、肩を落としブリッジを後にした。
かつての仲間達に、愛想を振りまく気力すら無く、待ち人と共に過ごした部屋へと迎う。
もう、自分の所に戻る事は無いだろうと確信しつつも、待ち人が無事と云う意味だけに期待をしつつ彼女は、彼の気配が残る部屋へ入ると、そのままベットに倒れこんだ。
モニターの光だけが室内を、青白く照らす。
倒れこんだベットの上で、片腕を空を掻く様に伸ばし、自身の指先を見つめる。
決して汚れていない真っ白な指先には、幻の如く紅い雫が見えた。
『やぁッ…』
恐怖から悲鳴をあげると、ベットから起き上がり、素早く手を拭くと改めて自身の手を見つめる。
そこには、ただ普通にある綺麗な指先だけが見え、安堵しながらも、追い詰められてる自分にどうしようも無くなり、頭を抱えた。
『キラ…』