**短 篇 集**

□*…愛だったかも知れない…*
2ページ/3ページ


あの時は…凄く我が儘だったんだ…。

愛して貰えなくても、僕だけ見ててくれれば…
僕は君の望み通りになれた。
でも…
君に溺れすぎて…僕は、我が儘になってた。

悲しかったけど…綺麗事だけど、突き放す事で、僕の大好きな君が蘇るなら…
僕は灰になっても悔いは無かった。

君の心の何処かに、僕の想いだけでも…遺っていれば。

君の為に、汚れる事も…朽ちる事も、幸せな事だったんだ。








君をたくさん泣かせたのに…
僕は最低な独り善がりだよ。



「それでも、取り戻したかったんでしょ?」

「うん」

「その人の笑顔を?」

「そうだね…否、そうだ」

でも、泣かせてばかりで、幸せに出来なくて、君は僕を愛していないのに…
僕が我が儘で無力だったから…
君を追い詰めて…追い詰めて、追い詰めて…殺した。

だから…僕の手は汚れてる。
あの気高い女神には…もう触れることさえ許されないんだ。



「…愛って奴なんじゃないんですか?」

「…えっ?」

「だから…それが《愛》だって言ったんです」

彼は笑って言った。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ