**短 篇 集**
□*…愛だったかも知れない…*
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あの時は…凄く我が儘だったんだ…。
愛して貰えなくても、僕だけ見ててくれれば…
僕は君の望み通りになれた。
でも…
君に溺れすぎて…僕は、我が儘になってた。
悲しかったけど…綺麗事だけど、突き放す事で、僕の大好きな君が蘇るなら…
僕は灰になっても悔いは無かった。
君の心の何処かに、僕の想いだけでも…遺っていれば。
君の為に、汚れる事も…朽ちる事も、幸せな事だったんだ。
君をたくさん泣かせたのに…
僕は最低な独り善がりだよ。
「それでも、取り戻したかったんでしょ?」
「うん」
「その人の笑顔を?」
「そうだね…否、そうだ」
でも、泣かせてばかりで、幸せに出来なくて、君は僕を愛していないのに…
僕が我が儘で無力だったから…
君を追い詰めて…追い詰めて、追い詰めて…殺した。
だから…僕の手は汚れてる。
あの気高い女神には…もう触れることさえ許されないんだ。
「…愛って奴なんじゃないんですか?」
「…えっ?」
「だから…それが《愛》だって言ったんです」
彼は笑って言った。