**短 篇 集**
□*…こんにちわ赤ちゃん…*
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時間にしたら…2時間位
でも彼には、一生より長く感じた
彼女の悲鳴
看護師達の励ます声
医師の掛け声
そして…
―ん…んぎゃぁんぎゃぁ…―
小さく可愛いけど、力強い泣き声
この世の幸せを一身に受けた心地
看護師に促され、彼は、無菌室へ連れて行かれ、天使に出会った
茶色い髪は、彼に似た色
瞳は灰がかった蒼で彼女の色
壊れてしまいそうな小さな小さな命
彼の腕の中で小さく眠る安らかな寝顔
「…あ…ありがとうございました…」
『はい…奥様は、産後の処理をしてますので、それが終わり次第部屋に戻れますので…』
きっと彼は不安な表情で聞いていたのだろう
『奥様に会われますか?元気ですよ?』
「はい」
彼は、満面の笑みを浮かべた
「お疲れ様…フレイ」
『あぁ…キラ』
疲れか表情の中、微かに笑顔を向け彼の名前を呼ぶ
「ありがとう 凄く可愛かった」
『キラ…ありがとう』
そう良い互いの唇を軽く重ねると、微笑み合い、彼は分娩室を後にした
入院生活なんてあっという間で、一週間なんだから寂しくないなんて誰が言っただろう?