**短 篇 集**
□* 運命ノ輪 * 後編
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口許に弧を描きニッコリと微笑むイザークに恐怖を感じ一気に涙が溢れ流れる
『ごッ…ごめんなさい… イザーク…許して…?』
「良し良し… 上出来だ…」
悪戯に動き回る指がピタリと止まると左手をフレイの頬に宛い支える様に触れる
フレイはピクッと強張るとそのまま瞳を硬く閉じる
─ベシッ
『痛ッッ…』
「これで許してやる」
額に一発のデコピンをくらわすとイザークは、そう言い残すフレイの躯の上から降りベットに腰を落ち着かせる
『今本気でヤッたでしょ…?』
額を摩りながらイザークの背中を見つめる
「悪戯した罰だ… 悪い事をしたら罰を与えるのは保護者の勤めだろ?」
明らかに満足そうに笑った声
フレイは、その声と言葉の意味に不満を感じる
『だからって、力いっぱい擽る事ないじゃない…』
「叩かれるよりはマシだろうが…」
『そうだけど…』
「今日…逢ったんだ…」
『…アノ人に?』
「あぁ…」
『それで?』
「また逢う約束をした… でも…」
『あら? 約束したなら良いじゃない? 不満がある訳?』