§書庫§

□映画を見る時は携帯電話の電源を切ろう
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「遅い・・・」


江戸にある某映画館。
銀髪の男が一人、待ち惚けること30分。

男が待っていたのは愛しい彼女。



「すまねぇ、遅くなっちまったっ」



それは長身で美しい・・・・・・男。




「これで遅刻何回目だぁ?」

「だから謝っただろうが(怒)」


どうやら遅刻魔の彼女に、呆れる男。
が、息を切らせながら反論する彼女・・・
彼女の名は十四郎。男の名は銀時。



互いは間逆の生活を送っている。

銀時は、万事屋という名のプー太郎。
十四郎は、真選組副長という肩書きをもつ武装警察。



忙しい十四郎にとって、プライベートと言えど、休みが潰れることも多い上に、休日でも隊士に頼られる重役人。



どうやら十四郎は、今日も仕事の事情で遅れてきた様子。
オフと聞いていた銀時にも見てわかる十四郎の服装・・・
着流しではなく、隊服を着て息を切らしている十四郎。



銀時は、ため息を吐いた。
忙しい十四郎の事情を察した上で付き合っている。わがままを言えないこともわかっている銀時は、自分が折れることにした。



むしろ、嬉しいことではないか。
入ったであろう仕事を終わらせて、息が切れるほど走って来てくれた十四郎・・・
好意がなければ、来てくれるはずもない。
思わず顔がにやける銀時。



「何ニヤけてんだ、気持ち悪ぃ・・・」

「あ?誰が気持ち悪・・・やべッ。もう始まっちまう!行くぞ」

「あ、おい!」



銀時は反論しようとするが、思い出したように近くにあった時計に目をやり焦る。
十四郎の手を掴み、十四郎もまた銀時にされるがまま、二人映画館の中へと足を急がせた。
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