§書庫§
□1日の始まりは朝ごはんから
1ページ/2ページ
朝、8:30頃。真選組屯所内 食堂。
「あれ?こんな時間だってのに、トシの姿が見えんな。アイツ非番だったか?」
近藤が、食堂で食事をしながら呟いた。
「いえ、今日は確か仕事のはずですよ」
山崎は、食べた食器を返却口に持っていこうとしながら、近藤の言葉に返事をする。
「おはようございまさァ・・・」
「!?」
食堂に現れたのは、土方ではなく沖田。
近藤は、目を丸くして驚く。
「総悟がマジメに起きて来るなんてな・・・珍しい事もあるもんだ」
「あれ・・・?沖田隊長、今日非番じゃなかったでしたっけ?」
山崎もまた、不思議そうに口を開く。
「土方さんと交わってやったんでさァ。今頃、まだ寝てやすぜ」
――数時間前。
土方が再び寝入った頃、沖田は目を覚ましていた。
「こんな時ぐれぇしか、"好きだ"と言ってくれないんですねィ、土方さん。
たまには顔に見て、素直に"好きだ"と言わせてェもんでさァ・・・」
沖田は一人呟く。
それに答えるかのように、土方は無意識に沖田に擦り寄って寝息をたてていた。
「全く・・・本当に殺(や)りてーぐらい好きになっちまった・・・どうしてくれんでさァ、土方コノヤロー」
この日ばかりは、
鬼の副長・土方も、床から起き上がることは無かった。
甘い余韻に浸るかのように・・・・・・
【終】