§書庫 参§

□残り香ほどもどかしいものはない
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土方はずるい。



素直じゃなくて、意地ばっかはって、可愛くなくて…

表に出さず、内側に真意を隠しがちな土方。

けど、意外な一面があったりする。



多分、俺しか知らない。それは秘密の香り。





近頃土方は、俺と会う時、独特の甘い香りをまとって来るようになった。

多分安物ではない、俺でもわかる高価な香水の香り。



言葉では決して言わないけれど、なんとなく察した。

この香りで、俺を中毒にさせようとしている。

それはまるで、土方を匂いや意識と共に存在を覚えさせるかのように。



んなことしなくたって、俺はもう土方に毒されてるってのに。



自分の存在をアピールするような、その真意が正解かどうかはわからねーけど、この万事屋に残していく土方の香りが消える頃、土方が逢いに来るようになっていたことに気づくのは、まだまだ先の話。




【終】
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