§書庫 参§
□狂。-first love-
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姉上が野郎に感情を告げたあの日から、俺の人生は狂った。
真選組一番隊隊長、沖田総悟。
その昔、まだ姉上が生きていた頃だ。
俺が愛してやまない姉上の心は、いつしか長髪の狂犬に奪われていた。
荒い性格して、誰も手つけられねーってのに、その純粋無垢な瞳をする男に、俺もいつしか魅かれていた。
大嫌いだった。
大切な姉、近藤さん…奴ぁきっと俺の周りの大切なものを奪っていく。
俺はそんな男を排除することで頭の中を支配されていた。
逆に言えば、常に奴が頭の中に居るという状態。
…土方十四郎。
土方さんを知ろうとすればする程、遠くなる距離、そして引かれる興味。
姉上を失った日、俺の憎悪は、愛憎へと変った。
「土方さん、この書類ですけどー」
「だーからっ!俺ァ今日オフだって言ってんだろーが。明日にしろ。どうせ上の会食のリストだろ」
「えー…」
俺が土方さんに恋心を芽生えさせてから、随分と時間が経った。
けれど、その気持ちを言おうとも思わなければ、悟られたくもねェ。
「今日一日出る、真面目に仕事しろよ」
「当たり前でさァ、土方さんじゃあるまいし」
「余計なこと言ってねーで散れ!!(怒)」
近頃の土方さんと来たら、オフになると外出してらぁ…
俺はやりかけの仕事を放置し、こっそり土方さんの後をつける。
色ボケて誰かと逢引でもしてんじゃねーだろうな…してたらマジで殺してやらぁ。