§別館書庫§

□『愛しさとアイツは空の彼方』
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いつもと何ら変わりのない日を送っていた。

特に大きな事件が起こるワケでもなく…



通常の業務を終えた俺は、屯所の自室に戻った。

ストックの煙草が切れている。



「チッ」



一人舌打ちを部屋に響かせ、隊服のままコンビニへと向かった。



初夏の暑さに、汗でへばりつく隊服が鬱陶しい。

そんなことにイライラしながら、買った煙草をポケットに突っ込んで、ふとコンビニのガラス越しの外に視線を向ける。

ある人物の横顔がチラッと見えた。



紫が夕焼けに照らされる鮮やかな髪の下には、包帯が顔の下半分に巻かれている。その派手な女物の着物は…

間違いねェ。



「鬼兵隊の高杉…」



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