§別館書庫§
□美しいモノ程、儚く壊れやすい-禁断の世界と真実-
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夕暮れ時。
今日は月に一度の定休日。
白椿は、賑やかしいいつもとは違い、静まり返っていた。
皆、日頃の疲れに休息を取っているんだろう。
俺は消せないハズの心の傷、ましてや自分で抉り付けたような傷だってのに…それを打ち消すかのように、湯浴みをして自室へと戻る。
「よォ、どこ行ってたんだよ」
俺の部屋に居るはずのない、今…一番逢いたくない人。
動揺に体の動かないトシに近づく晋。
その晋の瞳は、いつも以上に鋭く、尚、トシの姿をしっかりと捉えている。
全く動かないトシの腕を掴み、部屋の中へと引っ張り込む。
いきなり動かされた体についていけないトシは、足がもつれ晋の胸へと倒れ込んだ。
そんなトシをがっしり掴み、晋は部屋の戸をピシャリと閉めた。
「総悟と何してた?」
「!!」
(何故、晋がそれを…)
トシは何から何まで理解できず、晋の腕の中に居ることさえ頭がついていけない。
「チッ」
何も答えないトシに、晋は舌打ちしてトシを乱暴に押し倒した。