「彼女が出来た。」 と京が言う。 嘘だろ。 食べるのを中断させて口に出すと静まるリビング。 なーんちゃってが、ない。 …どうやら、本当に俺はコイツに先を越されたようだ。 まさか本当だと思わなかったので地味にショック。京は変わらずに黙々と食べ続けているが。 今まで友達すら居なかったくせに何があった。 つい最近悟くんとの料理対決くらいだろあったと言えば。 進歩はいいことだけどいくら何でもこれは劇的すぎるぞ。 幾つかの疑問に返って来たのは「別に」の一言。 最初から取り合う気は無いらしい。 じゃあせめてどんな子なのかは教えろ。それ位の権利はあるだろう。さぁ質問に答えろ。 なんでか必死になる自分が情けないがこれも人の性。仕方ない。 「いい子だ。」 …それだけか。 「優しくて、いい子だ。」 相変わらずの読めない表情のまま言う京。 …成る程、優しくていい子ねぇ。 ところでこの間お前の学校で可愛い女の子に声をかけられたんだけど 「ロリコン。最低。」 まだ何も言ってねぇだろ。 で、その子とどうにも話が弾んで仲良くなりました。 「…ロリコン」 最後まで聞け。 で、その子が是非とも俺の特性丼を食べたいと言いました。 という訳で、今日その子が遊びに来ます。 「電話借りるよ」 待て待て待て待て最後まで聞けって警察官が警察の御用になるのは冗談じゃ済まないから。 ところで、京くん。 お前の彼女の名前、当ててやろーか。 ガタン!! 言った瞬間凄い勢いで立ち上がった京。 怒ってるんじゃない。かなり焦ってる。 …効果抜群だなぁ。 「…何時」 なにがだー。 「奏が来るのは何時って言ってる。」 ん〜あと一時間くらいだな。 「本当に余計なことをするね。 だから彼女できないんだよ。」 余計なお世話はそっちだ。 恐ろしい捨て台詞を残して去った京は、多分自分の部屋に行ったんだと思う。 にしても凄いなぁ。 恋は人を変えるとかよく言うけど、ここまで劇的だとは思わなかった。 そんなことより 「奏ちゃんって言うのか。 今度学校に言って声かけてみようかな。」 ### 過保護だが馬鹿ではない設楽さん |