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□Bdash!!
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「おーモジャ男。」

認めたくないけれど、どうやら彼は僕のことをそう呼んだらしかった。
ふらりと前から歩いてきた男子。たぶんあの三人の一人だったはず。

なんだそのセンスの欠片も見いだせない呼び名。
これだから男は嫌いだ。

と、いくらでも言うことはあったんだけれど悲しいことにそれを言うことは叶わない。
というかそもそも走っていたせいで呼吸の方もままならないんだ。その上逃げていたせいでSPとも逸れちゃったし。
畜生奏め…!!
心の中で悪態をつきながら呼吸を整える。
絶対次こそはぎゃふんと言わせてやる…!
と、何度目かもう数えきれないくらいの決意を固めた。

「…いや本当に大丈夫かお前。」

本気で返事をしないで放っておいたら、いい加減しびれを切らしたらしい(どっちかって言うと心配しているんだが)男が話しかけてきた。

「…ふん、君に気にされるほどじゃあないよ。
手出し無用さ。」

とりあえず戻りつつある呼吸で適当に返事をする。
こういう輩に無様な姿を見せるのは心底癪なものだ。
大丈夫にゃああんま見えないんだけどとかなんとかのたまっているのをつづけて無視していると、

「逃げてんのってやっぱ海道からなんか?」

なんともデリカシーのないことを男が言った。
いや、っていうか

「なんだ君。奏のこと知っていたのか。」

「あぁ?そりゃ当たり前だろ。アイツ俺と同じ学部だし。」

「…は?」

予想外の言葉を聞いて若干気が抜ける。
おかしいな。

「奏はサービス学部に進んだんじゃ…?」

たまに嫌がらせのような包みと一緒に届く手紙には、たしかそのようなことが書いてあった気がする。っていうか書いてあった。
じゃあ途中転部でもしたのだろうか。

「んん?俺はアイツのことはあんまり知らないけど、多分最初から調理学だったはずだぞ。」

「…。」

―なるほど、やっぱり、アイツ。

何十年来の手紙の虚実。
驚きのあまり言葉を無くした。
いや、今はそれどころじゃない。

「…奏は今どこにいるかわかるか?」

「あ?」

「だから、奏の居場所は!?」

知らず口調が強くなる。
それに戸惑ったのか知らないが、どもりながら言う。

「知ってるっちゃ知ってるけど…。いいのか?逃げなくて。」

なんだ、そんなことか。

「ふん。Bien sûr!!
どうやら僕は下らない友人と、一度きちんと話しておかないといけないらしいからn「あああああレヴィめっけ―――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」「ぎゃう!!」

ド―――――ん。
腹部に劇的な痛みが。っていうか重力が。

「ちょ、おま、重ッ!!!!!!!!!!!」

「うっぉーいレヴィくんこんなか弱いレディーに向かってへヴィーだなんてレヴィーが言うことじゃあないよね!!」

「変なものと僕の名前を似てるからって並べるな!僕の名前を伸ばすな!!」

知らない間に僕の腹にがっつり捕まっている奏を無理やり引き剥が…引き剥が…せねぇよなんだよコイツの吸引力!!
いやそういえば茶番を繰り広げる訳じゃなくもっと重要なことを思い出した。

「っていうかお前、サービス学部に入ったんじゃなかったのか!」
「え?入るわけないじゃん。」

行間挟まず即答された。
なんだこいつ。

「じゃあ今までの手紙とか、全部ウソだってことじゃ…!」

「いやいやいやいや。それだけだって。嘘は。」

ぶんぶんとすごい勢いで手を振りながら全面否定する奏。
っていうかそこが嘘なのは間違いないんだな。

「第一、私がレヴィに嘘つくわけないじゃない。」

「お前自分のセリフ三秒後に忘れるなよ!」

すでにその軽口が嘘だよ!鳩じゃないのかこいつ!

「あー。そっちじゃないよ。
私がレヴィをからかう時の嘘は公式記録としてカウントしてないから」

「公式!?そしてあの手紙は全部からかいの一貫!?」

「モチのロンのトイトイの九連宝燈!!」

「真面目に話せないのか…ついでに最後の役は出たら死ぬぞ。
そんなことより、じゃあお前が吐かなかった嘘ってなんだよ」

「あれ?もしかしてレヴィ忘れたん?

『大きくなったら私がお料理でレヴィがデザートの星三つフルコース作ろうね!!』って言うお約束。」

何気なくさり気無く事も無げに当り前のことのように言う奏。
相変わらず人を小馬鹿にしたような言い方は変わらないんだけど。

「…覚えてるよ…。」

結局それに応えてしまった。
本当なら忘れてなほうが可笑しいくらいの古い記憶だ。
忘れられているんじゃないかと思った。覚えてないかと思った。のに。

「…お。何もしかして、レヴィ忘れてると
思ってヤキモチで焼いてたのかなー??」

「なッ!そんなわけにゃいだろ馬鹿!!」

「噛んじゃった…。」

「ウルサイぞ奏!」

とかなんとか、結局下らない話に落ち着くことになった。

…まぁ、いいんだけど。




「っつーかお前ら本当に仲いいのな…」


森崎の一言も二人には聞こえないようだった。



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ラファ様に相互記念で『レヴィの甘』です知るか!
というわけでレヴィ書きましたがレヴィはお前とか馬鹿とか重いとか言わない。
うちのサイトでは夢主のツッコミのために居るからキャラがゲシュタルト崩壊ですが気にせず。森崎空気。

では最後に相互ありがとうございました^^


 

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