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□好きで、好きで、
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私の恋人は、マスクに赤髪が特徴の人です。同い年で、物静かで髪が綺麗(とても重要)と、私のタイプにぴったりです。

食専でも似たような感じらしいですが、守屋くんをミイラにしようとしたりしていたそうで。ちなみに諦めてはいないようです。
本当のことを教えたいところですが、説明しにくいですし。

まあどのような評価を受けているのであれ、私が京を好きなことに変わりありません。


私に優しくて、どんな私でも受け止めてくれて、「奏」を見てくれる。これ以上幸せなことがあるでしょうか?



私は今食専にいます。正直行くとじろじろ見られてうっとうしいんですが、どうにかして隠れば何ということありません。
何人か見たことのある方を見かけましたが、話しかけないでおきました。この間森崎さんに話しかけたら京が怒ったので。

ぼうっとしながら京が出てくるのを待ちます。
こちらの門でいいはずなんですが、一向に来ません。もう帰ってしまったんでしょうか。

「・・・・・・奏」
「あ、京」

そんなことを考えていると京がやってきました。手をポケットに突っ込んで、どこか不思議そうに私を見ています。

「どうしたの?」
「今日は早く終わったので・・・京の家に行こうかと」

実は店の人たちが変わってくれたんですが・・・。本当親切な人たちです。

「・・・そう。行こうか」

ポケットに入れていた右手を出し、私の左手を握りました。京の手は少し冷たいですが私にとっては温かく感じます。
普通の人にはこんなことしないでしょうから。何だか優越感。

「今日は泊まってくの?」
「あ、いえ。設楽さんもいるでしょうし、迷惑になりますから」

「俺はいいけど。奏、泊まってけば」
「・・・・・・設楽さんの存在無視してませんか?」


何だか京はいつも設楽さんを酷く扱っている気がします。保護者なのにそれはどうかといつも思いますが、言わないでおきましょう。


ふと荷物の重みがなくなりました。どうしたかと見回していると、京が左手で持っていてくれていました。スパイスが入ったケースもあるのに・・・。

「あの、京、いいですよ?持ちますから」
「別に。持ってる」

「ケースもありますし、持ちにくいでしょう?」
「俺はそんな柔じゃない」

そう言われれば何も言えません。京のこういう優しさが、私は好きです。

姉さんたちに言わせると「どう考えても奏限定だよそれは」だそうですが、別にそれで構いません。むしろ他人にまで優しい人なんて嫌です。そんなこと言ったら姉さんたちの彼氏だってそうでしょう。
私にだけ、なんて特別な気がします。女は特別という言葉に弱いんですよ。

「お邪魔します」

京の家に着きました。玄関に設楽さんらしい靴はなかったので、まだ仕事なのでしょう。

フローリングに足をつけた瞬間、京に抱き寄せられました。当然驚いて京を見ます。

「け、京?あの・・・何ですか?」


「落ち着く」


身体が密着しているので、京の体温だとかが直に伝わってきて、その、動悸が・・・。知られていないかが不安です。

「は、離れてください・・・」


「やだ」


京は基本的に優しいんですが、何だか最近意地悪になってきました・・・。
強く抵抗できないことを分かってやっているんでしょうか。だとしたら相当性質が悪いです。


「奏」


「はい?」

それでも私は、


「好きだよ」



「――――私も、好きです」



優しくキスをしてくれる貴方が、好きだと思うのです。




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ラファ様から相互記念に『立花くんのほのぼの』でいただきましたどうもありがとうございました!
この二人のいちゃいちゃが好きです。
つくづく思うんですがヴァンリちゃん可愛いですよね←

ともあれ相互ありがとうございました^^




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