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□猟奇的な彼氏
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学食にお昼を食べに行っているところで、前を歩く人が学生証を落とした。

でもその人はそれにどうやら気付かなかったらしくて、構わずどんどん進んでいってしまう。

こ、これは、私が声を掛けないといけないフラグじゃないか…!!
とりあえずあれだ。できるだけ笑顔で声を掛けようそうしよう。

「あ、あの。」

「ん?」

決死の覚悟で声をかけて振り返ったその人。
突然声を掛けられて不審に思っているのか、ちょっと眉間にしわが寄ってたりするんだけど。

そんなことよりその人、顔が整ってて切れ目で背が高くて、なんていうか確実にイケメンに所属してて確実に私の好みなんですけどどうしましょう!!!
好みドストライクなんですけど!
イケメンだイケメンがいるよ!!

「…おい。」

そんな交錯の中、一言も言葉を発さない私にしびれをきたしたらしいイケメンが、なんだかすごい勢いでこっちに歩いてきた。

やばいこのままだと私奇声あげただけの変な人だ!それだけは避けたい!!

だから、急いで学生証を拾い上げてその人に渡そうとする。

学生証を持ってその人に渡すように手を出したときにはイケメンが超至近距離に!!

やばいよやばいよすごいイケメンって近くで見てもイケメンなんだね!

…っていうか異常なくらい顔が近いんですけど。
いや、これは本当におかしいくらい近い。
目と鼻の先って表現をそのまま実行したような近さ。

…あれ?あれれ?
い、いや大丈夫だよ。とりあえず用事を済ませないと。

「こ、これ!あのついさっき落としたんですk」「おい、お前。名前」

はいシャット!
セリフ最後まで言わせてもらえなかった!!
え、なに?なに?

「名前は。」

「え。名前…ですか?」

だんだん頭がついていかなくなりつつある私。
なんで名前?

「えーと海道 奏…です。」

「ふーん…。奏…。
制服からすると、サービス学部…か。」

「は?」

いや確かにあってますけど。サービス学部だけど。
なんだこの人。

さっきまでのイケメンの威厳はどこへらやって感じで悪いんだが、知らずのうちに私も眉間にしわが…。
疑惑の目で見ていると、何かを考え込んでいたその人はまたふと思いつきのように言った。

「ところで奏。」

すでに下の名前である。
それも呼び捨てである。
とんでもない馴れ馴れしさ!

「…はい?」

「お前、彼氏は?」

「……はぃ?」

「居るのか、おらへんのか。どっちや。」

「…あの、すいません。質問の意図が何一つわからないんですけど。」

「どっちや。」

ちょっとこの人私の話聞いてくれない!!
聞く耳持たないってレベルじゃなく聞いてくれない!!
第一初対面の女の子に彼氏いるかとかって聞いていいもんなの!?どうなの!?!?
その上この人すごい目でこっち睨んできてて答えなかったら確実に殺される!!

…答えるしか、ないですよねぇ。

「うぅ…居ませんけど…。」

だってこの学校変な人しかいないんだもんっていう言い訳は聞いてもらえないだろうなんてことを考えていたけど、

「…ふーん。」

すごい普通に流された…!!
え、なにそれじゃあ聞くなよ…。
テンションがだだ下がりしたので思わず下を向いちゃったところで、上からその人が言う。





「じゃあ奏。
己と付き合え。」






名前も知らない変わった人が、

どうやら私に告白してきたらしい。







「え、あの。すいません。無理です。」



わけわからん。





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カニ先輩は話聞かない残念なイケメンだと私は思っているぜ…!!


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