君と僕。
□独り占め
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「要君、一緒に帰りませんか?」
放課後、鞄に荷物を詰めている要君の元へ行き、誘った。
「あ、あぁ…。でも今日、茶道部有るんじゃないか?
さっき悠太部活行くって言ってたし…」
「今日はちょっと用事が有るので、お休みです。」
そっか、と要君は相槌を打ち、
「祐希は?」
と、訊いてきた。
「あ、さっき誘ったら先に帰って、って言ってました。」
「ふーん。じゃ、帰るか。」
「はい。」
鞄を持って歩き出した要君の後に、僕は続いた。
*****
「あれ、要は?」
「塚原?鞄無いし、もう帰ったんじゃね?」
教室を覗き込んで、祐希は要がいないのに気付く。
クラスメイトが要の机を見て教えてくれた。
「要っちひどいっ!俺達を置いてくなんてっ…」
およよ、と隣で千鶴が嘘くさい演技をする。
「…春に待ってて、って伝言頼んだのに…」
*****
「そういや、春と2人で帰んの久しぶりだなぁ…」
要がふいに呟いた。
「そうですね。
いつもは悠太君達がいたり、要君がいなかったりで、そんな機会有りませんでしたもんね。」
「あぁ。…あいつらいねーと静かだな…」
「すいませんっつまらないですか?」
「あ、悪い。そうじゃなくて。春と居ると落ち着くな…って思って」
「そ、そうですか…」
自分でも、顔が赤くなったのが分かる。
それを隠そうと、とっさに下を向く。
そして、口元が緩んでいないか、手を当てて確認する。
騙した祐希君に悪いと思いつつ、喜びが胸を満たす。
たまには…ね
→あとがき