君と僕。
□相合傘
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「雨…降んないかなぁ…。」
「は(い)?」
窓を眺めていた千鶴の突然の呟きに、4人は同時に声を上げる。
「やだよ、雨なんか。ダリィし濡れるし。」
「そうですよ、雨が降ると僕、髪の毛のくせが大変な事になるんですよ」
「そもそも、こんな晴天に、雨が降るとは思わないんだけど。」
「どうしたの、千鶴。遂に頭おかしくなったの?」
「うっせー俺は雨降って欲しいの!
ってかゆっきーひでぇΣ( ̄□ ̄;)」
それぞれの思い思いの言葉に、千鶴は怒鳴り返す。
そして、ビッと要に指をさす。
「俺知ってるぞ昨日要っちがメリーと相合傘したって事
俺だってまだなのに、ズリィ」
千鶴の目には、悔し涙が浮かんでいる。
「あのなぁ…。
俺は別にあいつの事好きでも何でも無いんだから、ズルイも何もねぇだろ。」
はぁ、と要はため息をついて続ける。
「大体、知らない奴ならともかく、知り合いが傘持ってないの目の前にしてさっさと帰れるかよ。」
「でもズリィ俺もメリーとしたい」
ズルイと連呼する千鶴に、要はうるせぇ、と返す。
「………。」
その様子を、悠太は黙然と見つめていた。
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生徒会を終えた要は、独り下駄箱へと向かった。
「げ、マジかよ…。」
すでに暗くなった外を見ると、雨が降り出していた。
(あいつ…どんだけだよ…)
要は、昼休みにせっせと降れ降れ坊主を作っていた千鶴を思い出す。
「ぜってー明日ぶん殴る」
「要君心せまーい。」
知った声に振り向くと、其処には
「悠太…。こんな時間までどうしたんだ?」
「ちょっと、ね…」
「あ、そういや今日部活だっけ。春も一緒か?」
「いや、春は部活終わってすぐ帰ったよ。」
雨が降りそうだったから、と付け足す。
「てゆーか、茶道部はこんな時間までやりません。」
「んじゃあ何で…。」
「要待ってた。」
「俺?用事ならわざわざ待たなくても、メールとか電話で…」
「雨、降りそうだったから…。俺、傘持ってないんだよね」
「だったら尚更…」
当然の疑問に、悠太は思いもよらない返答をする。
「相合傘、しようと思って。」
「………は?」
思わず、マヌケな声が出てしまう。
「そんな事の為に、今まで待ってたのか…?」
「そんな事じゃないよ。だって要、茉咲としたんでしょ。」
「だから、」
「うん、だから俺も要と相合傘したい。
目の前で、傘持ってない恋人がいるんだよ?放っておくわけないよね?」
悠太は勝ち誇った顔で尋ねる。
「〜っ」
要はほんのり頬を染め、頭をかく。
「傘はお前が持てよっ//」