君と僕。

□好き
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ふと、本当にふと思った。

「塚原君て、可愛いよね。」

そしてふと口から出てしまった。
しまった、と口元を片手でおさえるが、後の祭り。

「…はい?」

当然ながら、その可愛い教え子は怪訝な表情でこちらを窺う。

「あ、いや…そのっ…」

自分でも予想していなかったため、どう繕っていいか分からない。
因みに今は、彼と2人きりだ。
解らない所があると、珍しく彼から教えを請ってきたのだ。

日が傾き、薄暗くなりつつある教室に、何とも言えない空気が流れる。

しまった
さっきは生徒として、と返すべきだった、と今更ながらに思う。

どうしてもこの子相手だと上手く立ち回れない。
その理由は理解しているが。
誤魔化そうと曖昧な笑顔を向ける。
すると、彼はパッと顔を背けてしまう。
気味悪がられたかな、と少し落ち込む。
だけど、その耳やうなじが赤くなっているのを認め、淡い期待を抱く。

「塚原君、僕は君の事が…」



→あとがき
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