君と僕。
□インナー
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「要君」
体育祭を終え、家でのんびりと疲れた身体を休めていたところに、数時間前に別れたばかりの春が珍しく鬼気迫る様子で、部屋に乱入してきた。
「な…何だよ…。」
その迫力に、さしもの要もどうして此処に、とか突っ込むことを忘れ、たじろぐ。
春はじとっと目の前の恋人をねめつけている。
「…。」
その視線に耐えられなくなった要は、目を逸らし、僅かに身動ぎする。
「何で…」
静かに、春が口を開く。それを要はちら、と横目に窺う。
そんな要を待っていたのは思いもよらない言葉。
「何で中にインナー来てないんですかぁっ」
「はぁ?」
「だから、インナーです!
今日は体育祭…しかも要君はバレーだって云うのにっ!」
「……」
要は春の意図が掴めず、ぽかん…と口を開ける。
「んなの…皆着てねーじゃん…。」
春だって、と付け加えるのを忘れない。
「他の人なんてどーでもいいんです。
でも要君は駄目なんです」
「はぁ?何でだよ。」
「お腹が…」
「あ?」
「ジャンプした時にお腹がちらちら見えるじゃないですかー
破廉恥ですっ!
いやらしいですっ!
僕達にはまだ早いですぅっ!」
春は先程よりも大きく、最早怒声に近い形で、勢い良くまくし立てる。
それを聞いた要は、呆れた顔をしている。
「お前なぁ…。」
「その所為で僕、試合に集中出来なかったんですからねっ。」
「……春って意外とむっつりだったんだな…。」
おちはないww