ボカロ

□初恋は実らない
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「ねぇ、好きな人が今でも、頼めば一緒にお風呂入ってくれるんだけど、どう思う?」


人気の無くなった放課後の教室。窓から射し込む西日が良い雰囲気を醸し出していた中、友人から飛び足した言葉。

眺めていた窓の外の景色から彼女へ視線を移す。
意外にもその綺麗な碧い瞳は真剣そのもので。


「…ちょ、ちょっと待って。
あんたの好きな人って確か…」

「高等部生徒会長」

「だよね…。リンがよく『カイ兄カイ兄』って騒いでる。」
「うん。」

「ってかあんた、今でも一緒に風呂入ってんの

もう中2なのに?と誰もが思う疑問をぶつける。

「た、たまにだよっ
月2くらいっ。」

と、リンは慌ててフォローするが、入ってる事に変わりはない。
中2女子が、好きな人と、しかも相手は高校生。
互いに思春期真っ只中だ。
…まぁ、あの生徒会長からは想像出来ないが、彼だって立派な男なのだし。


「恥ずかしくないの?」

「別に…。
ってかむしろムラムラしてくる。」

こいつ…女子中学生が吐く言葉じゃないぞ…

「付き合ってるわけじゃないんだよね?」

無言で頷き肯定する。

「で、会長はあんたの裸見ても?」

「無反応」

「それってさ、あんた…


女として意識されてないんじゃない?」


しばらくの沈黙。
そして

「やっぱり…?」

ガンッと派手な音を立てて、リンは頭から机に突っ伏す。
「ってか気付くの遅くねっ

普通もっと早く気付いても良いのでは。

「……。」

無言のまま、リンは拗ねたように唇を尖らせる。
それでも、彼女から滲み出る哀愁。

ふぅ
と、軽く息をつく。

「カラオケでも行こっか。」

「うん…」

「祝・失恋パーティーってことで、今日は私が奢っちゃるww」

「まだふられてないもんっ






きっと、リンなら大丈夫。
すぐに良い恋、見付けてね。

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