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「バルファ旅行記すりー」前編
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俺達はあの大きなテントまでやってきた。

中の取引を見させてもらう方法は簡単。合い言葉的な言葉と金目の物を預けること。ちゃんと後で返してくれるらしい。とても信用できないが、大抵宝飾品を預けるのだと言う。しかし、誠那の持っていた物は高価すぎると言われた。それだと誰かが目が眩んで盗むか分からない。とのことなので、ワイヤさんの見立てで宝飾品を買った。

品物の価値が分かってきた俺からするとおもちゃのような値段じゃないかと思うが、夫婦に呆れられてショックだった。どうやら、根本的価値観が違うようだ。

たしかにあの学園にいては一般人の感覚とは違うだろうと思っていたが、違ってもなんら問題ないと思って生きてきた。ここにきて大問題だと気づく。ちなみに誠那はまだマシな感覚だと夫婦は言う。何故なら宿の代金交渉のことから判断できたらしい。

ただ、誠那も使い方がやっぱりお金持ちだと言っていた。…俺にはどこがどうお金持ちっぽいのか、さっぱり分からないが。

とにかく誠那の持っていた宝飾品は普通じゃないほどの高価な品というわけで、買ったのはおもちゃでなく、一般女性が一つは持っていたいと思うほどの品なんだとか。
とても勉強になった。やはり現地の人と交流することは素晴らしい。

そんな回想をしていられるくらい入るのは簡単だ。一応、身体検査があるが、簡易のもので魔法具なんかは隠しておけば大丈夫とのこと。
それでも心配ではあるので、なるべく上手く隠している。

テントの入り口では前に訪れた時と違い、多くの人がいた。あきらかに地元の人でない者が多い。まあそうだろう。
受付に並び、俺達の番になると預ける用の宝飾品を受付に渡し、何事か書いた紙を渡してきて受け取った誠那が頷いた。

実は俺も魔法で文章も読もうと思えば読めるんだけど、今は自分で覚えたいということで、あえて分からない状態にしているのでよくわからない。必要ならすぐに魔法発動するけど。あ、俺が魔法使うんじゃなくて、そういう魔法がかかってるだけだから。

それからさらに奥に進むと厳つい荒くれっぽい男がいた。
近づくと身体検査として身体を触ってくる。妙に手つきが怪しかったのは気のせいではないと分かった。だけれど魔法具の1つも見つけられることなく無事に検査終了して奥へと進む。


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