ひとつだけの愛 


□ひとつだけの愛(改訂版) 第1話
1ページ/1ページ

ひと駅向こうのファミレスで、2ヵ月くらい前から、週3日のバイトを始めた。

だって、いくら総理の娘でも、お父さんに甘えるわけにはいかないもん。

自分で、生活費ぐらいは、なんとかしなきゃね…。
ただ、彼氏であるそらさんは、私がバイトすることを反対した。

そら「よう子ちゃん、バイトするの、オレは、絶対に反対だよ!」

よう子「えっ、どうしてですか!?」

そら「また、犯罪に巻き込まれちゃうかも知れないじゃん。」と心配そうな顔で見た。

よう子「大丈夫ですよ。だから、お願い。バイトに行かせて。そらさん。」と上目遣いにそらを見つめる。

そら「よう子ちゃん、ズルいよなぁ。そんな可愛くお願いされたら、オレ、反対出来ないじゃん。」

こうして、私は、バイトをすることになった。

バイト先では、店長もバイト仲間もいい人で、総理の娘だからって、特別扱いは全然なく、普通に接してくれているからすごく楽しい。
ただ…、最近、変な人が2、3人来て、私の名札をジッと見てるの…。

学校の登下校や、バイトの帰り道、つけられてるような…。なんか少し不安を感じ始めて来た。

その不安が、数日後に現実になろうとは知るよしもなかった…。

店長「よう子ちゃん、お疲れ。もう時間だから、上がってよ。」

よう子「はい。店長、みなさん、お疲れ様でした。お先に失礼しま〜す。」

バイト仲間「お疲れ様でした。」

店長「あっ。よう子ちゃん彼氏が迎えに来てるよ。」と笑顔でよう子に話しかける。

よう子「えっ!?」と言って驚いて駐車場を見ると、そらが迎えに来ていた。

よう子(なんで…? この時間ってまだお仕事途中なんじゃ…)と思いつつ、よう子は、制服から私服に着替える。

駐車場に行くと、

そら「お疲れ〜。よう子ちゃん☆」と笑顔でウインクするそら。

よう子「えっ!? そらさん。お仕事は?」

そら「今日は、早く終わったから、よう子ちゃんのこと、迎えに来ちゃいました。」って笑顔で言うそら。

よう子「そらさん…。」そんなそらに自然とよう子も笑顔になる。

そら「だって、オレ、早くよう子ちゃんに逢いたかったんだもん。だから、来ちゃった!」と笑顔で答えるそら。

よう子「ホント、びっくりしました!! でも、ありがとうございます。嬉しいです。」

そら「ね、よう子ちゃん、キスしてもいい?」

よう子「えっ!? そらさん…。ちょっと…。ここは、まだ駐車場だから…。恥ずかしいです。」

そら「えぇ〜っっ!? いいじゃん!! じゃあ、よう子ちゃんの家ならいい?」

よう子「…。」

何も言えずに俯いた。

そら「じゃあ、早く、よう子ちゃんの家に帰ろう! で、2日我慢したんだからキスしていいよね!? ところで、よう子ちゃん、バイト、楽しい?」と運転しながら聞いてくる。助手席の私は、

よう子「大変だけど、楽しいですよ。」

そら「よう子ちゃん、かわいいからなぁ〜。 オレ以外の男の人についていっちゃダメだよ〜?」

よう子「もう、そらさんてばっ。そらさん。大丈夫ですよ。私の中で、そらさんが一番です。」と言って俯いた。

そら「かわいい!! よう子ちゃん大好き!! あっ、ついたから、オレが異常ないか、チェックしてくるから、よう子ちゃんは、車の中で待ってて?ね?」
そう言うと、そらは、よう子の部屋をチェックしにいく。

よう子(ここ数日、変な人2、3人につけられてること、そらさんに言った方が良いのかな? でも、私の勘違いかも知れないし…。)

そら「よう子ちゃん、大丈夫だよ。って、よう子ちゃん? どうかした?」とよう子の肩をたたく。

よう子「えっ…!? あっ…。あの、そらさん…。」

そら「なにか…、あった?」と心配そうによう子の顔を覗きこむ。

よう子「いっ、いいえ。そらさん、お家に寄って行ってくれますか。」(やっぱり、言えないよ…。私の勘違いかも知れないし…。)

そら「もっちろん! 全然OKだよ。大丈夫。明日は、オレ、非番だから送り迎えしてあげるから。ね?」手を繋ながら、部屋に帰った。

よう子「そらさん、お茶でも入れましょうか。」

そら「いいって。ここにいて。ね。よう子ちゃん、大好きだよ。」

キッチンに行きかけた、よう子の左手を掴んで、しっかり抱き締める。そして、お互いの唇が重なった…。

あれから二人は、リビングで、しばらくの間抱き合っていた…。

そら「もうしばらく、こうしてていい?」

よう子「…。ちょっ…、そ、そらさん…、そろそろ、夕ご飯の支度をしなきゃ…。」

そら「ヤ〜ダ〜。だって、オレ、お腹空いてないも〜ん。ご飯より、よう子ちゃん食べた〜い!ダメ?」

よう子「えぇっ!? それは…ちょっと…。」

そら「あ〜。よう子ちゃん。赤くなってる(笑)かわいい! 冗談だよ。ホント、かわいい。」

よう子「もう〜。そらさん、からかわないでください…。恥ずかしいから…。」と言いながら、エプロンをしながら、キッチンへ向かう。

よう子「そらさん、夕ご飯は、焼きそばでいいですか?」

そら「うん。よう子ちゃんの作った焼きそばって、お店のより、美味しい!」いつの間にか、後ろにそらさんが立っている。

そら「ここで、作ってるの見てていい?」

よう子「いいですよ。でも、なんか、作ってるとこ見られるのって、恥ずかしいなぁ。」

そら「なんで? いいじゃん。なんなら、オレ、野菜切るの手伝うよ。」と言って、横に並ぶ。よう子は、エプロンを取りに行き、そらさんに渡す。

よう子「じゃあ、そらさん、キャベツを切って貰っていいですか?」

そら「りょーかい。こうやって、一緒に料理するっていいよなぁ。結婚したら、こんな感じなのかなぁ。」

よう子(これって…、プロポーズ入ってるよね? そらさん、キャベツ切ってる姿ってかわいい。なんか幸せだなぁ。このまま、ずっとずっと一緒にいたいなぁ。)

他にもお手伝いしてもらい、焼きそばも出来て、2人で食べる。

そら「ね、マヨネーズちょうだい。オレ、マヨネーズかける派だから。」

よう子「はい。そらさん、マヨネーズです。」

そら「サンキュー。うん。今日も美味い! よう子ちゃんのが一番だね。お店のより、全然、美味いっ!!」

よう子「ホントですか?ありがとうございます。嬉しいです。…。あっ、そう言えば、お父さんが、今度、三人だけで食事をしようって言ってましたよ。」

そら「それなら、ちゃんと総理によう子ちゃんとの結婚を認めてもらわなきゃ。うわ〜っ、昇級試験の面接より緊張するなぁ。」

よう子「もう、そらさんってば。大丈夫ですよ。お父さん、絶対に反対なんてしませんよ?」

そら「ホントに?よしっ! 頑張ろうっと。オレ、よう子ちゃんと、1日も早く一緒に暮らしたいもん…。ところで、今日、オレ、お泊まりしてもいい?」

よう子は黙って頷いた。

そら「よう子ちゃん、一緒に寝よっか?」

よう子「えっ…!? は、はい。」

そらが先に横になり、よう子が恥ずかしそうに横になる。そらに腕枕されながら眠りについた。

翌朝、

「よう子ちゃん。よう子ちゃん。」って声が。

目を覚ますと、

そら「おはよう〜。」満面の笑みで、よう子を見つめる。

よう子「…。おはようございます。」

そら「バイト、何時からだっけ?」

よう子「今日は、お昼から夜の8時までです。」

そら「そっか〜。今、朝の7時だから、ゆっくり出来るね! オレが朝ご飯作ったから。ね?」

よう子「えっ!? そらさんがですか?」

そら「ちょっ…、よう子ちゃん?オレだってそれぐらい作れるっつーの!!(笑)」

よう子「そうですよね…。あはは…。」(この間は、ご飯が固かったよ。なんか心配だな…。)

いきなりそらさんが、抱き締めキスをする。

そら「よう子ちゃん、大好きだよ。オレから離れるの絶対禁止だよ。」

よう子「そらさん…。って、あっ、あの、なんか焦げ臭いですよ?」

そら「うわ〜!! ヤッベ〜!鮭焼いてたの忘れてたよ。よう子ちゃんが、かわいすぎるからだよ。」

よう子「えぇっ。なんでですか?」

そら「もう、よう子ちゃん、反則だよ〜!!」

そらさんの作った朝食を食べ、あっという間に、時間が過ぎ、バイトに出勤する時間が来た。
そらさんに、バイト先まで送ってもらう。

そら「お仕事頑張って! じゃあ、夜迎えに来るから。ね?」

よう子「はい。行ってきまーす。」

離れ離れになるのは、寂しいけど、お仕事頑張ってくるね。って自分に言い聞かせて頑張った。
今日も、あの例の3人組が来ていた。

私が注文された商品を持って行くと、名札を見ながら、

男1「君、玉川よう子って言うんだ。」

よう子「は、はい…。」
と男を怪訝そうに見つめる…。

男2「総理のお嬢さんだよね?」

よう子「はい…。」いい知れぬ不安がよぎる。

バイトが終わり、そらさんが迎えに来てくれる。

そら「お疲れ〜。よう子ちゃん!!」

よう子「そらさん!!」自宅まで送ってくれる。

翌日…。

いつものようにバイト先へ向かう。
今日は、あの例の3人組も来てないみたいだし、ホッとするが…。
バイトが終わり、お店を出てから、ずっと、誰かにつけられてる。電車の中でも、異様な視線が…。
最寄り駅を出て、バス停までの道で、やはり、つけられてる。

よう子(怖い…。なんで…。誰なの…?)慌てて、携帯をカバンから取り出し、そらに電話する。

よう子「もしもし。そらさん…?」

そら「もしもし?よう子ちゃん。どうかした?」

よう子「そらさん…、ずっと、バイト先を出てから、誰かにつけられてるの…。怖い…。どうしよう…。」

そら「よう子ちゃん、落ち着いて?ね。今から、オレ、迎えに行くから…。人が多いところにいて?ね?」

よう子「わかりました…。人が多いところに行きますね。」

人が多いところにと思い、振り向いた瞬間、男たち3人が目の前に。

よう子「きゃああああああ。そらさんっ…、助けて〜〜。」と叫ぶが、男にいきなり腕を掴まれて、口を塞がれ、もう一人の男が、私から携帯を奪い上げ、ニヤリと笑う。

よう子「んっ…。いやぁ〜、離して!んっ…。そらさん、助けて〜。」

男2「静かにしろ!!」と大きな手で口を塞がれ、よう子は、必死で抵抗するが、2人の男に、無理矢理、ワゴン車の後部座席に引きずり込まれる。

よう子「いやあああぁ〜! 助けてぇ! そらさん、助けて!!」と必死に暴れ抵抗するが…。

男3「おとなしくしろ!!」

よう子「いやぁ〜。離して〜。」泣き叫ぶ。

男2「静かにしろ」とよう子の口にハンカチを押し込む。

よう子「ん…。んーっ。」

2人の男に手足を押さえ付けられ、ロープで縛られようとしていた。

そら「よう子ちゃん?よう子ちゃん?」

男1「広末そらだな。玉川よう子を預かった。」

そら「なっ、なんだって!? てめぇ、よう子ちゃんをどうするつもりだ。」

男1「無事に返して欲しかったら、次の指示を待つんだな。」と言って切る。

そら「もしもし?もしもし?」

その頃、ワゴン車内で、男たちに手足を縛られ、口にはハンカチを押し込まれ、声が出せない状態でシートに寝かせていた。

よう子「ん…。んー。」抵抗するが、きつく縛られ、解けそうになく…。

男3「しばらく、おとなしくしてろ。」いきなり、口と鼻に布を押し当てられ、すーっと意識がなくなる。

よう子(…。そ…らさ…ん…。)

そら(よう子ちゃん、きっと助け出すから。オレ、絶対に行くから。待ってて。)と心の中でよびかけるのだった…。●●●●
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ