ひとつだけの愛 


□そらと○○のひとつだけの愛 第5話
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酸素マスクを付けられ、点滴をされている。ようやく、よう子の意識も戻り始めた。

検査の結果、鉄分が異常に低い状態と判明。それによる貧血。主治医が家族を呼ぶように指示。

看護師「玉川よう子さんのご家族の方ですか?」廊下で待つそらに声をかける。

そら「はい…。」

看護師「吉岡先生がお呼びです。」

そら「わかりました。」

吉岡「玉川よう子さんのご主人?」

そら「いえ。違います。婚約者の広末そらです。」

吉岡「広末さん、よう子さんの検査結果ですが、かなり状態がよくないです…。鉄分が通常の3分の1ぐらいしかない。鉄分欠乏性貧血です。かなり、重症です。恐らく、本人も相当しんどかったでしょう。呼吸も辛かったと思うし。歩いたりするのも辛かったでしょう。おまけに、過労も出てます。何か、気づかなかったですか?」

そら「えっ?」(そう言えば、三重県に行った時、少し、しんどそうだった…。)

吉岡「このまま、入院して、鉄分の補給をしたいと考えてますが、本人のよう子さんは、入院したくないって言ってまして…。」

そら「オレに説得しろってことですか

吉岡「もう一度、説得しますが、納得されない時は、お願いします。」

そら「わかりました…。」

廊下で待つそら。

吉岡「玉川さん、入院して鉄分の点滴をしましょう。その方が、早く改善出来るし。過労からの疲れもあるから入院して、静養しましょう。」

よう子「…。そんな…、嫌です…。入院しません…。お薬で充分です。安静にしますから…。だから、先生…。」

吉岡「玉川さん、婚約者の広末さんも入院して治療することに賛成してます。その方が早く良くなるから。」

よう子「そんな……、そらさんまで…。入院だけは…。入院だけは、いや〜っっ」と悲痛な叫び声を上げ泣くよう子…。廊下で待ってるそらにも聞こえてくる…。

処置室に呼ばれ、中に入るそら…。

そら「よう子ちゃん、入院して治療しよう。絶対に早く良くなるから。」

よう子「いやよ…。そらさんまで、なんでそんなこと言うの…?入院したら、一緒に居れないんだよ?(泣)」

そら「オレ、よう子ちゃんに早く元気になって欲しいから。」抱きしめようとするが…。抵抗され…。

よう子「いや…。入院し…たく…ないって…言っ……てるの…に、…どうし…て、そらさ…ん…まで、そ…んな…こと言…うの?(泣)」息苦しくなり、意識が遠ざかる…。

看護師「玉川さん 玉川さん 先生 意識がなくなりました。」酸素マスクを再度付けられる。

吉岡「広末さん、一刻を争います。至急、入院の手続きしてください。」

そら「わかりました。」そらの手で、手続きされ入院。病室に移される。

吉岡「呼吸状態が、安定するまで、薬で眠らせます。あと、出血していた場合も考えられますので、明日から、検査をしますがいいですか?」

そら「はい。お願いします。」

点滴に睡眠薬を入れられ、弱々しく眠るよう子にそらさんは…。

そら「オレだって、入院させたくないよ…。ごめん。こんなに嫌がってんのに…。早く良くなって欲しいから…。よう子とずっとずーっと、一緒にいたいから。」と泣きながら、頭を撫で、抱き起こして、酸素マスクをずらしキスをする。

よう子を残し、出勤。業務をこなし、一旦、帰宅し、よう子の着替えなど準備して、再び病院へ。

手を握りしめ、よう子の寝顔を見つめる。相変わらず、顔色も悪く、弱々しく眠る。

その後、よう子の意識が回復するが、そらさんの顔を見ようとしない…。

そら「よう子ちゃん、気がついた」といつものように声をかけるが…。

よう子「……。なんで?…あれだ…け、い…やだっ…て言っ…たのに…。(泣)」と言って目を閉じ背中を向ける。

そら「よう子ちゃん、オレのこと、見なくてもいいからさ、話、聞いてくれるかな

よう子「…。」黙って聞いている。

そら「鉄分が、正常値近くまで、点滴の方が回復が早いんだって。だから、入院して治療する方がいいんだって。正常値近くに戻ったら、退院して、お薬に変わるから。だから、頑張ろうよ。ね?よう子ちゃん

よう子は、ただ泣いていた。

そら「…。」そらも涙をこらえる。

よう子「…。そらさん……。」

そら「ん?…。」

よう子「私のこと…、嫌いになったよね…。このままじゃ、そらさんのお嫁さんに慣れないよね…。」と呟く。

そら「なに言ってんの 嫌いになんかならないって。よう子ちゃんこそ、オレのこと…、無理矢理、入院させちゃったから、嫌いになったよね

よう子「…。そんなこと……。」

そら「よう子ちゃん

よう子「そんなこと…ないです。」

そら「そっか。良かった。明日から、検査があるけど、平気そう

よう子「はい。大丈夫です。あっ、そらさん、看護師さんから、聞いちゃいました。」

そら「ん?」

よう子「そらさん、泣きながら…、私にキスしてたって…。」

そら「うん。したよ。」

よう子「そらさん…。」

そら「よう子ちゃん、大好きだよ」と抱き締める。

翌日から、検査がつづく。
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