黒子のバスケ
□僕は君のすべて
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ガチャ
ベッドから1mほど向こうにあった扉が開いて、誰か入ってきた。
その姿を目にとらえて、僕は今の状況に納得する。
「赤司君…」
「起きたのか、テツヤ」
あの時、僕は名前を呼ばれて振り返ると赤司君がいて、
『ちょっとつき合ってもらうよ』
という言葉とともに、口と鼻を布で塞がれて、意識をなくしたんだ。
徐々にこちらに近寄ってくる赤司君。
「赤司君。
これはどういうことなんですか?」
どこかわからない部屋。
手錠で自由に動かない手足。
カッターシャツしか身につけていない身体。
日常では絶対に起こることのない状況だ。
しかし、真剣に聞く僕を見降ろし、赤司君は少し笑いながら答える。
「フッ…どういうことって、
つき合ってもらうよっていったよね、僕」
この人相手に、真剣に答えてもらおうとした僕がバカだった。
赤司君はこういう人だ。
全く僕にはわからないけど、どこか掴みどころがないというか…
「それは聞きましたけど、
こんな状況になるんなんて聞いてません」
「言ってないもん」
もういやだ。
僕のバスケの才能を見出してくれたのは彼だし、感謝しているけれど、この人は僕がこの世で一番苦手な分類にはいるかもしれない。
「はぁ…
で、僕は何につき合えばいいんですか?
それにつき合わないとここから解放してくれないんでしょ?」
「さすが、ものわかりが早いね、テツヤ」
僕が従うことが当たり前といったように、赤司君は不適な笑みを浮かべる。
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