@剣の章

□「元気があれば何でもできる!!」
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東の森―

シヅカが朝ご飯に使う食材モンスターが棲息する森だ。

ガサガサ…

シヅカ
「さっそく食材モンスターちゃんのお出ましや!」

茂みから姿を現したのは、かわいい玉っころのようなイノシシ型モンスターの群れだった。

ミイ
「か、かわいい…!」

思わずミイが見とれていると…

シヅカ
「見た目に騙されちゃアカンよ。」
「この子たちは獣の本能で一番弱そうなんを狙って攻撃してくるん。」
サッシー
「えっ…!?」
「一番弱そうなのって…」
「もしかして…」
「私…!?」

言っている側から群れの1匹がサッシーに突進してきた。

サッシー
「イ、イヤ…!」
「こっち来ないで…!!」

サッシーが突進をかわすと、すかさず手に持った突剣でイノシシを貫いた。

サッシー
「ふぅ、何とか1匹…」

サッシーに仲間をやられた事に気付き弱い者リストが変更されると、次にターゲットになったのはシヅカだった。

今度は4匹同時による突進だった。

サッシー
「大丈夫、シイちゃん…!?」
シヅカ
「『できませんは言いません!!』」
「行くよ…」
「いち…」
「に…」
「さん…」
「しいちゃん!!」

シヅカが掛け声と共に1匹ずつ着実に仕留めていった。

サッシー
「スゴい…」
ミイ
「何てパワーなの!?」
「あの巨大フライパンを軽々と…」

サッシーとミイがシヅカの怪力に圧倒されていると、最後の1匹が今度はミイ目掛けて突進してきた。

ミイ
「えいっ!!」

一瞬だった。

気付くとイノシシの身体はバラバラになっていた。

シヅカがミイに駆け寄った。

シヅカ
「アカンやん…」
「こんなバラバラにされちゃ、せっかくの食材が台無しやで!」
ミイ
「ご、ごめん…」

今度はサッシーがミイに駆け寄った。

サッシー
「そんな事より…」
「大丈夫!?」
「血出てるよ、シイちゃん!」

シヅカの膝からは血が流れ出ていた。

先程のイノシシとの奮闘で少しかすってできたものだ。

シヅカ
「血!?」
「マジや…」
「でも大丈夫。」
「うち、昔から怪我してもすぐ治るんよ。」
サッシー
「大丈夫ならいいけど…」
シヅカ
「心配してくれてマジありがとな。」
「うち、元気だけが取り柄なんよ。」
「『元気があれば何でもできる!!』」

そう言ってシヅカは笑顔で、サッシーにガッツポーズを見せた。

サッシー
「“元気”か…」
(私は…)

サッシーはシヅカの笑顔とガッツに、逆に“元気”をもらったような気がした。
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