@剣の章

□ポジティブガール
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村に戻る頃には既に陽は登り始め、朝8時を過ぎようとしていた。

シヅカのアパート―

サッシー
「広っ!!」

シヅカのアパートは1人暮らしの割にかなりの間取りを保っており、隅々まで綺麗にされていた。

部屋を見て、シヅカが几帳面で綺麗好きなのが分かった。

ミイ
「広くて居心地いいね、この家。」
シヅカ
「そうなんよ。」
「みんな居心地いいって言ってくれて、良く家泊まりにくるんよ。」
ミイ
「でも1人にしては広くね?」
シヅカ
「確かに1人の時は寂しいけど…」
ミイ
「それなら、こうゆうのはどう?」
「今日からここが私たち『ネガティ部』の本部で…」
『シイちゃんが『ネガティ部』のマネージャー!」
サッシー
「いいね、それ。」
シヅカ
「えっ!?」
「うちは別に構へんけど…」
「何か楽しそうだし。」
ミイ
「じゃあ、それで決定ね。」
サッシー
「よろしくね、シイちゃん。」
ミイ
「ところでこの部屋は?」
シヅカ
「その部屋は使ってへんから、好きに使ってくれてええよ。」
ミイ
「じゃあ、この部屋は『ミイちゃんの部屋』に決定!」
サッシー
「何、『ミイちゃんの部屋』って!?」
ミイ
「フフフ…」
「今はまだ、秘密〜」

『ミイちゃんの部屋』がどんなものかはともかく、そろそろシヅカの朝ご飯が出来上がろうとしていた。

肉の焼けた香ばしい匂いと、肉を煮込んだ濃厚な香りが食欲を誘う。

シヅカ
「できた!!」

テーブルにゴールデンボアのローストと、大きな鍋で煮込んだイノシシ鍋が列べられた。

サッシー
「朝からスゴっ!!」
ミイ
「こんな手の込んだ料理、どこで覚えたの?」
シヅカ
「うち、こう見えても調理師ギルドの調理師学生なんよ。」
ミイ
「へぇ〜、スゴいじゃん。」
シヅカ
「でもこれは、ほんの一部やで。」
「将来はもっと、こう…」
「広くバラエティーに活躍したいんよ。」
サッシー
「“将来”ね…」
(私は…)

魔王によっていつ滅ぼされるか分からないこの世界に『将来』と言うポジティブに生きるシヅカを、サッシーは心から見習いたいと思った。
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