@剣の章

□ツインタワー
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裏山では、長身の女性がミイたちを痺れを切らして待っていた。

女性
「随分と待たせてくれたね、ミイ…」
ミイ
「ご、ごめん、サエ…」
「実は…」

ミイは今までの経緯を、サエと呼ばれた女性に説明した。

その時…

サッシー
「もしかして、サエ先輩…!?」
サエ
「ま、まさか、サッシー!?」
サッシー
「はい、お久し振りです。」
ミイ
「何だ、知り合いだったんだ。」
サエ
「まさかミイの元にいたなんて奇遇だね。」
「それじゃ、もう1人のほうには自己紹介しておくね。」
「私はサッシーの先輩であり、ミイの古くからの友人で、今日の試練で君とサッシーの指導を担当する事になった…」
「元気のみなもと『ゲンキング』こと、サエよ。」
「気楽にサエって呼んで。」
キタリエ
「は、はい…」
「よろしくお願いします。」
サエ
「声が小さい、元気が無い!」
「あいさつは人間関係の基本中の基本だよ。」
「もう一度やり直し!!」

サッシー曰くサエは、昔からあいさつや礼儀には人一倍うるさいようだ。

キタリエ
「よろしくお願いします!!」
サエ
「よろしい、こちらこそよろしく!!」
ミイ
「ところでもう1人のサエの知り合いは…?」

ミイが辺りを見回してサエに言った。

サエ
「アンタたちがいつまでたってもこないから身体がなまっちまうって言って、山奥に筋トレに行くって…」
キタリエ
(“筋トレ”って…)
(一体どんな人が来るんだよ!?)

キタリエがサエの知り合いのイメージを膨らませていると、サエはその知り合いにそろそろ戻ってくるよう携帯を鳴らした。

数分後…

ミイたちの前に現れたのは、サエをも凌ぐ長身の大女だった。

キタリエ
(キター!!)
(ゴリラ、キター!!)

キタリエがむしろイメージしてたとおりといった感じで心の中で叫んだ。

すると、ゴリラ女は…

ゴリラ女
「だれがゴリラだって!?」
キタリエ
「えっ…!?」
「口に出してませんけど…」
ゴリラ女
「口に出してないって事は、心で思ってたんかい!!」
キタリエ
「す、すいませんでした!!」
ゴリラ女
「まあ、いい。」
「今日は相棒であるサエの頼みで君ら2人の試練とやらの稽古を指導する事になったサヤカだ。」
「よろしく頼む。」

そう言ってサヤカと名乗った女性とミイ・キタリエ・サッシーの3人は簡単に自己紹介を交わし合った。

以後、ちょっとした雑談が始まる。

キタリエ
「それにしてもお2人共、背高くて羨ましいですね。」
サヤカ
「巷じゃ私たちの事、『ツインタワー』なんて呼ばれて結構名が売れ出してるんだ。」
キタリエ
「へぇ〜、私も2人のファンになっちゃいそうです。」
サッシー
「それに先輩のそのボロボロのジャージ…」
「とても素敵ですね。」
キタリエ
(そこかよっ!?)
(しかも、“ボロボロ”って…)

だが、サッシーが指差したサエのボロボロのジャージはお世辞にもオシャレさは皆無で、ミイとキタリエはむしろサッシーとサエのファッションセンスを疑った。

サヤカ
「だろ?」
「それに、私のこの年期の入ったジャージもなかなかのもんだろ?」

サヤカもサエに負けず劣らずのセンスと言うか奇抜で、ミイとキタリエは内心吹いていた。

サッシー
「でも私も負けてませんよ。」
「私なんてまだ一度も洗濯してないんですから!」

サッシーに至っては、もはや問題外であった。

サエ&サヤカ
「マジでか、スゲぇー!!」

サッシーとサエとサヤカの妙な意気投合にミイとキタリエは…

ミイ
「ってか、ジャージってダサくね!?」
キタリエ
「同感。」

ミイとキタリエはそんなジャージで熱く語れる3人が理解不能だった。
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