A魔法の章

□「あーやロイドは好きですか?」
1ページ/2ページ

サッシーは再びパルルとの激闘を繰り広げていた。

サッシー
「ちょ、ちょっとアンタ…」
「私の大切な『幻のアイドル写真集』あげた代わりに改心の約束をしたじゃん!?」
パルル
「約束はちゃんと守ってるぞ。」
「もうあの漁村は襲ってないからな。」
「だけど…」
「それとこれとは別だぞ。」

そう言ってパルルはサッシー目掛けて一輪車を特攻させた。

その隣ではキタリエとマリヤがいい勝負をしていた。

この2人も戦うのは二度目だ。

マリヤが得意のロンダートからナイフ投げを連射した。

キタリエ
「くっ…」
「相変わらず、ちょこまかと…」

マリヤが羽根ナイフを投げつけながらキタリエに言った。

マリヤ
「アンタ、ユイに酷い事したら承知しないぞ。」
キタリエ
「何を言ってるんだ。」
「ユイはもう私たちの“仲間”だ。」
「ユイを裏切ったアンタたちに心配されなくても、しっかりやってるよ。」
「まあ、“まだまだこれから”だけどね。」
「あっ、それは私もか…」

そう言ってキタリエがマリヤに反撃を繰り出すと…

マリヤ
「そうか…」
「それなら良かったぞ。」
「ユイを頼む。」

そう言ってマリヤは自らの羽根ナイフを太股のベルトホルダーに閉まうと戦いを降りた。

キタリエ
「もう戦わなくていいの?」
マリヤ
「………」

だがマリヤがそれ以上喋る事は無かった。

マリヤが戦いを降りた事を見たミナルンとナンは…

ミナルン
「何で戦うの辞めちゃうのよ?」
「全く、マイペースなんだから…」

ミナルンがシヅカの猛攻をコロコロとかわしながら言った。

ナン
「やる気無いヤツは放っておくぴょん。」
「それよりもユイ…」
「まさか私がアンタと戦う事になるとはね。」
「どっちが強いか勝負ぴょん!」
ユイ
「ちょ、ちょっとナンちゃん…」
「私はみんなと戦いとうないんよ?」
ナン
「ユイ…」
「何を言ってるぴょん?」
「アンタは“捨て駒”として捨てられたんだよ?」
ユイ
「………」

だがユイには、元仲間とは言え戦う気は毛頭無かった。

ナン
「こうなったら…」
「アンタが嫌でも戦うようにしてやるぴょん!」

そう言ってナンは『あーやロイド』のコントローラを“暴走モード”にした。

ナン
「行くぴょん、『あーやロイド』!!」
ユイ
「ちょ、ちょっと…」
「そんな事して大丈夫なん?」
ナン
「フフフ…」
「やっと仲間の心配をしたか?」
ユイ
「違うわ、ミカポンはんの事やなく…」
「“あの子”の事やよ。」

そう言ってユイは暴走状態の『あーやロイド』を指差した。

“暴走モード”の『あーやロイド』が黒い煙を放ちながらミカポンを襲った。

ナン
「あわわわわ…」
「変な煙出ちゃったぴょん!?」
「こうなったら…」

ナンが再びコントローラを握ると、とあるボタンへと手を伸ばした。

ユイ
「そ、そのボタンは…!?」
「アカン…」
「アカンよ、そんな事しちゃ!!」

だがユイが言うよりも早くナンがそのボタンを押した。

ナン
「“自爆モード”オン!!」

その瞬間、『あーやロイド』を中心に凄まじい爆風が巻き起こった。

爆風が治まると所々傷付いたミカポンの傍らには、胴体などが分解された『あーやロイド』の姿がそこにあった。

ナン
「あわわわわ…」
「やっちゃったぴょん…」

ナンがパニック状態に陥っていると、倒れた『あーやロイド』がナンに近づき言った。

アーヤ
「『あーやロイド』は…」
「好きです…」
「か?」
ナン
「あわわわわ…」
「こ、こっち来るなぴょん。」
「お前なんか“嫌い”ぴょん!!」
アーヤ
「そ、そんな…」

最後に『あーやロイド』の目から涙のようなものが零れ落ちると、『あーやロイド』の機能は完全に停止した。

ナン
「あわわわわ…」
「み、みんな一時撤退するぴょん!」
ミナルン
「『あーやロイド』はどうする?」
ナン
「こ、壊れたポンコツに用は無いぴょん。」

そう言ってナンは真っ先に撤退を図った。

パルル
「またな!」
ミナルン
「“三度目”は無いぞ。」
マリヤ
「またね、ユイ…」

4人がそれぞれ撤退すると、その場には壊れた『あーやロイド』だけが取り残された。

シヅカ
「敵とは言え、この子…」
「かわいそうやな。」

シヅカが壊れた『あーやロイド』の無惨な姿を見て言うと、ミカポンは…

ミカポン
「大丈夫…」
「“この子”は私と共に生きる。」

そう言ってミカポンは、『あーやロイド』の分解されたパーツを自らの機体に取り付けていった。

シヅカ
「ミカポン…」
「うん、マジそうやね。」

こうして『あーやロイド』ことアーヤは、ミカポンの身体の中で共命した。

だが…

アーヤのパーツにより、またヘンテコな機能が内蔵された事を、この時みんなは知らない。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ