BAの章

□専属
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タカミナたちは再び修理屋の工房を目指した。

その後3人は順調に森を進むと特にトラブルも無く修理屋の工房と思われる小屋に着いた。

ユッタン
「多分ここが修理屋の工房ちゃう?」
サエ
「入ってみよう。」

そう言って3人が小屋の扉を開けると、そこにはシオリンとの戦いでグチャグチャになった部屋を片付けているナッチの姿があった。

ナッチ
「あっ、いらっしゃいっち…」
「って…」
「よろず屋のユッタン!?」
ユッタン
「アンタが修理するの遅いからこっちから出向いたんや。」
ナッチ
「それは申し訳ない事したっち。」
「実は…」
「って、そこにいるのは…」
「もしかして…」
「サエ…!?」

ナッチがサエの姿を見て驚きの表情を見せた。

サエ
「“〜っち”って…」
「もしかして…」
「ナッチ…!?」
ユッタン
「何だアンタたち知り合いだったん?」
サエ
「ナッチとは昔、同じ学舎で同級生だったんだ。」
タカミナ
「そうだったんすか…」
「って、そんな事より…」
「わ・た・し・の…」
「フラフープは…!?」
ナッチ
「もしかして…」
「あなたがこのフラフープのオーナーさんだったっちか…」

そう言ってナッチが部屋の傍らに置かれたフラフープを手に取った。

ナッチ
「修理を遅らしてしまって申し訳ない事したっち…」
「何て謝罪すればいいか…」

ナッチが申し訳なさそうにそう言うと、タカミナは目を光らせ、こう言った。

タカミナ
「そうっすね…」
「迷惑を掛けた非礼として君には私たちのギルド『AKB』の“専属マイスター”になってもらうっす。」
ナッチ
「ギルド『AKB』と言えば対魔王用の武闘派組織として知られる命知らずのギルド!」
サエ
「まさかこんな森の奥地にまで私たちのギルドが知れ渡っていたとはね。」
ナッチ
「いや、ただ私の場合…」
「森の中で自然と共に暮らすだけでなく…」
「常に外の情報もチェックしてるからっちよ。」
タカミナ
「何だ、そう言う事だったっすか…」
「で、どうするっす?」
「協力してくれればギルドの工房や設備は自由に使ってくれて構わないっすよ。」
ナッチ
「対魔王ギルド『AKB』っちか…」
「面白いっち…」
(シオリンには悪いっちけど…)
「『AKB』の“専属マイスター”になるっち!」
「“伝説の剣”でも何でも私に任せるっち。」
タカミナ
「“伝説の剣”…」
「ほ、本当っすか…!?」
ナッチ
「素材を持ってこればっちけどね。」
タカミナ
「そう言う事っすか…」
サエ
「取り敢えず素材の事は追々探すとして…」
「よろしくね、ナッチ。」
ナッチ
「こっちこそよろしくっち、サエ。」
サエ
「そうそう…」
「ギルドにはサッシーもいるから、そっちのほうもよろしくね。」
ナッチ
「えっ、サッシーって…」
「もしかしてあの“泣き虫”サッシーの事っち?」
サエ
「そうそう…」
「あの“泣き虫”で“ヘタレ”の…」
ナッチ
「サッシーはどんな感じっちか?」
サエ
「“どんな”って…」
「相変わらずだよ。」
「“泣き虫”で“ヘタレ”な上、“お漏らし”で…」
ナッチ
「そうっちか…」
「それじゃ先輩としてちょっと揉んであげるっちか。」
サエ
「そうだね。」

こうしてナッチが『AKB』のメンバーに加わった訳だが…

ユッタンはと言うと…

ユッタン
(“サッシー”って確か…)
(うちの“推しメンスタンプ会員”のお得意はん…)
(キタリエの…)
(仲間だった…)
(これは儲け話の匂いがプンプンするで。)

ユッタンは心の中で何かを閃くと…

ユッタン
「ほな決めたで…」
「ナッチが“専属マイスター”なら…」
「うちは『AKB』の“専属よろず屋”になるわ!」
タカミナ
「本当っすか?」
「それも助かるっす!」
サエ
「良かったね、ユッタン。」
ナッチ
「一緒にがんばるっち、ユッタン。」

4人は改めてそれぞれ握手を交わすと、工房をあとにした。
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