BAの章

□はんなり少女の想い
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マリアがアンニンに言った。

マリア
「アンニン、あそこに爆弾投げてみて。」
アンニン
「分かった、えいっ…」
「『ストロベリーボム』!!」

そう言ってアンニンはマリアが指差した方向にいちご型の可愛らしい爆弾を投げつけた。

爆弾が爆発すると茂みの陰から黒焦げとなったシヅカ、ユイ、サエが姿を現した。

サエ
「痛たたた…」
「バレちゃったか。」
「ってか…」
「爆弾の“火薬の匂い”と“いちごの穂香な甘酸っぱい香り”が合わさって何と言う香ばしい香りなんだ…」

“匂いフェチ”のサエが『ストロベリーボム』の爆風の香りに浸っているとマリアが…

マリア
「私たちに奇襲を掛けようなんて“48年”早いぞ。」
ユイ
「“48年”って…」
「えらい中途半端な年数やな…」
シヅカ
「そんな事より“アンタはん”は…」
サエ
「教会の裏山に封印されていた堕天使…!」
マリア
「貴様らはあの時の…」
「この前は多勢に無勢だったが今回はあの時のようにはいかんぞ。」
「行くぞ、アンニン…」
アンニン
「ちょ、ちょっと待って…」
「もしかしてその“京都弁”は…」
「ユイさん…!?」

マリアの後ろから恐る恐る現れたアンニンが、ユイの姿を見て言った。

ユイ
「何や、アンニンやないか!?」
「えらい久しゅうな。」
アンニン
「やっぱり…」
「でも髪型変わってたから最初気が付かなかったですよ。」
ユイ
「ああ、これな…」
「今世話になってるギルドのリーダーはんに、髪切ったほうがええかも知れへんってアドバイスくれはってバッサリ切ったんよ。」
アンニン
「いい感じに似合ってますね?」
ユイ
「それは、おおきにな。」
アンニン
「でも…」
「少し太ったんじゃないですか?」
ユイ
(ぎくっ…)
アンニン
「ユイさん私たちの組織を裏切って、対魔王ギルドに入ったって聞きましたけど…」
「案外ストレスとかプレッシャーとかが原因で太ってしまったんじゃ?」
ユイ
(ぎくぎくっ…)
アンニン
「私思うんですけど…」
「ストレス溜めてまで“そこ”にいる事ないと思いますよ?」
ユイ
(………)
アンニン
「またみんなで悪い事いっぱいしましょうよ?」

そう言ってアンニンが人懐こくユイに誘惑の手を差し伸べた。

ユイ
「………」
シヅカ
「ちょ、ちょいユイ…」
「アンタまさかまた“悪”の道に戻るつもりじゃ…!?」
「あの子の誘惑に乗ったらアカンよ!?」

ユイの目が虚ろにになるとフラフラとしだした。

だがユイはフラフラになりながらも何とか自らの薙刀にしがみつきながらアンニンと、そしてシヅカに言った。

ユイ
「私は…」
「私は…」

ユイが何か喋ろうとするが、その時…

ユイは腰が抜けたかのようにバランス崩し、歯を自分の薙刀にぶつけてしまった。

サエ
「ユイ、大丈夫!?」

サエは見ていられないと思い、ユイのもとへ駆け寄り身体を支えた。

ユイ
「私は…」
「ああ〜」
「う〜」

ユイの身体は過呼吸気味で言葉になっていなかった。

マリア
「一体何を言っているのだ?」
サエ
「ちょっと待って…」
「私が通訳するから。」

そう言ってサエがユイの思いを代わりに通訳し始めた。

サエ(ユイ)
「私は今までアンニンや『チームまゆな』たちと一緒だった事を今でも楽しい事だと思っている…」
「でも…」
「私はシヅカはんやギルド『AKB』の皆はんと出会って、本当の自分を見つけたんよ。」
「だから私は戻らへん。」
「それに…」
「今はまだ分からんかも知れへんが…」
「いつかアンニンたちにも分かる時が来るはずや。」
「本当の自分に気が付く時が…」

そう言い残すと遂にユイはその場へと倒れてしまった。

シヅカ
「ユイ…!?」
サエ
「大丈夫、気絶しただけだよ。」

そう言ってサエは、ユイの身体をそっと寝かせた。

ユイの思いを知ったアンニンは…

アンニン
「変わったね、ユイさんは…」
「ユイさんはもう私たちの知ってるユイさんじゃない。」
「欲しい物は奪う…」
「今までだって私たちはそうやってきたのに…」
「それのどこが悪いって言うのよ!?」
マリア
「アンニンの言う事は間違ってない。」
「人間とは本来、“弱肉強食”の生き物なのだからな。」
アンニン
「ほら見ろ、私たちが正しいに決まってるんだ!」

そう言ってアンニンは自らの武器であるライフルを2人に向けた。

シヅカ
「残念やけど…」
「どうやらこの子にはユイの思いはマジ伝わらなかったみたいやね。」
サエ
「どうあってもやるしかないようね。」

そう言ってシヅカとサエも自らの武器を構えた。
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