CKの章

□光と闇
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ワサミンは自らの演歌で『のど自慢大会』をパワフルに勝ち進んでいった。

そして、決勝戦―

ワサミンの前に立ちはだかったのは、ランランの賄賂によって勝ち進んだコマリだった。

最初にコマリが歌った。

コマリの十八番“闇演歌”が会場に恐怖と絶望を呼び起こす。

すると会場の観客たちはまるで魂を抜かれたかのように、もぬけの殻となった。

ランラン
「コマリ、この調子で歌って…」
「プロになった暁には、その“闇演歌”で世界中の人たちを恐怖と絶望に陥れるのよ!」

観客たちが1人また1人倒れていくなか、コマリは“闇演歌”を歌い続けた。

ワサミン
「会場の観客たちが…!?」
「いけない、早くこの歌を辞めさせなければ…」

ワサミンはコマリの“闇演歌”の危険性にいち早く気付くと、それを止めるべく自らも“演歌”を歌いはじめた。

ワサミンの小節の効いた演歌が、コマリの“闇演歌”をかき消すように会場に響き渡った。

ランラン
「コマリが演歌で押されている!?」

ワサミンは歌い続けた。

そして3分後…

ついにワサミンはコマリの“闇演歌”を押し切ると、観客たちも徐々に意識を取り戻しはじめた。

意識を完全に取り戻した観客たちは、ワサミンの“光の演歌”の虜となっていた。

更に…

ランランから賄賂を渡されていた審査員たちまでもが、ワサミンを推しはじめた。

ランラン
「ちょ、ちょっと…」
「せっかく私が渡した“賄賂”を棄てるような事する訳!?」
審査員A
「ああ、“賄賂”なら全て返すよ。」
審査員B
「わたしたちはこの子(ワサミン)の歌に惚れたんだ。」
審査員C
「そうとも…」
「優勝はこの子(ワサミン)に決定だ!」
ランラン
「そ、そんな…」

ランランがショックを受けるなか、更にショックを隠せずにいる人物がもう1人いた。

コマリ本人だ。

だがコマリは自分が優勝できなかった事よりも、ランランが裏で勝手に賄賂を手引きしていた事が気に入らなかった。

コマリ
「ランラン…」
「“賄賂゛って一体どう言う事!?」
ランラン
「ああ…」
「コマリが優勝できるように私が審査員たちに賄賂を贈ってたんだ。」
「でも…」
「こんな結果になってコマリを優勝させてあげれなくてゴメンね。」
コマリ
「そんな…」
ランラン
「?」
コマリ
「私…」
「今まで実力で勝ってたんじゃなかったんだね…」
ランラン
「コマリ…?」
コマリ
「だったら…」
「そんな優勝いらない!!」
ランラン
「えっ…!?」
コマリ
「ランランのバカ…!!」

余程ショックだったのか、コマリは“ランランを置いて先に”走って会場を出ていってしまった。

ランラン
「コマリ…」

こうして『のど自慢大会』はランランの勝手な“空回り”によって幕を閉じようとしたが…
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