CKの章

□渡り廊下走り隊
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『のど自慢大会』会場控え室を抜けた渡り廊下―

ランランは深手を負ったワサミンと共に逃げるラブタンを追っていた。

ランラン
「“鬼ごっこ”なら負けませんよ。」
「体力には自信があるんです。」

そう言ってランランはみるみる2人との距離を縮めていった。

ラブタン
「やばい、追い付かれちゃう…」

不安そうに言ったラブタンにワサミンは…

ワサミン
「私は怪我を負っていてあなたの足手まといになるだけです。」
「お願い、あなただけでも逃げて!」

だが、ラブタンは…

ラブタン
「それじゃ私があなたを助けた意味ないじゃん。」
ワサミン
「で、でも…」
ラブタン
「だけど勘違いしないでよね。」
「私はただあなたが困っていたから仕方なく“気まぐれ”で助けたんだからね。」

ラブタンは何だかんだ“ツンデレ”を発揮しながらも、ワサミンの手を引っ張り走った。

だがそんな2人にランランは容赦なく距離を縮めてきた。

ラブタンが迫りつつあるランランに叫んだ。

ラブタン
「廊下は走っちゃ駄目なんだからね!!」
ランラン
「えっ!?」

ラブタンが指差した壁には確かに『廊下は走るな!』の注意書きが貼ってあった。

ランラン
「ホントだ…」

ランランが足を止めた。

その瞬間をラブタンは逃さなかった。

ラブタン
「今のうちよ!」

そう言ってラブタンはワサミンの手を引っ張ると、再び渡り廊下を走りだした。

ランラン
「ってか…」
「あなただって廊下走ってんじゃん!」
ラブタン
「私はいいんだよ。」
「だって私は…」
「『渡り廊下走り隊』だからね。」
ランラン
「『渡り廊下走り隊』!?」
ワサミン
「何です、その『渡り廊下走り隊』って?」

ワサミンの質問に対しラブタンが『渡り廊下走り隊』なるものを解説しだした。

『渡り廊下走り隊』とは…

ギルド『AKB』のスピンオフチームで、現在はラブタンの他に…

リーダーであるナツミを筆頭にミカポン、マユユの4名で構成されているとの事だった。

ナツミ曰くあと3人募集中でゆくゆくは合計7人態勢にしたいらしい。

ラブタン
「もしあなたが『渡り廊下走り隊』…」
「通称“ワロタ”メンバーにどうしても入りたいって言うなら、メンバーに加えてあげたっていいんだからね?」
ワサミン
「えっと、私は…」

だがラブタンはワサミンの答えを聞く間もなく…

ラブタン
「ったく、しょうがないわね。」
「いいわあなたを“ワロタ”メンバーに入れてあげるわ。」
「今回だけ特別になんだからね!」
ワサミン
「そ、そんな〜」
(私には“演歌”プロデビューって言う夢があるのに…)

強制的にワサミンを“ワロタ”メンバーとさせた。

これで募集メンバーがあと2人となった。

ラブタン
「そうと決まればここから『初恋ダッシュ』よ!」
「いい?」
「私の手から振り落とされないように気を付けてるんだからね!?」

そう言ってラブタンはワサミンの手を強く引くと、猛スピードで渡り廊下を走り抜けていった。
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