CKの章

□かなきち定食
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『かなきち食堂』のなかに入ると店主自らがワサミンを迎えた。

店主
「毎度!」
「わたくしこの“店の店主”のカナキチでございます。」
ワサミン
(“店の店主”って…)

自らを“店の店主”と言うあたり、ワサミンはこの“店主”カナキチのおバカさを疑った。

更に…

カナキチ
「御注文は?」
ワサミン
(声デカっ!!)

店主カナキチのキーキー声があまりにもうるさかったので、ワサミンは耳を塞ぎながら言った。

ワサミン
「この店のおすすめは?」
カナキチ
「おすすめは…」
「激甘スマイルと甘辛ダンスがギュッとつまった、かなきち定食を召し上がれ!!」
「、になります。」
ワサミン
「“激甘スマイル”と“甘辛スマイル”!?」
「そ、それじゃ…」
「よ、よく分からないけどそれで…」

カナキチが何を伝えたいのかよく分からなかったが、ワサミンは取り敢えずおすすめメニューである『かなきち定食』なるものを注文した。

数分後…

カナキチ
「お待たせしました『かなきち定食』です!」

ワサミンは早速『かなきち定食』なるものを口に運ぶと…

ワサミン
(お、美味しい…!!)
(“激甘“と“甘辛”の絶妙なハーモニー…)
(まさに“激甘スマイル”と“甘辛スマイル”ね。)

ワサミンは『かなきち定食』を食べる事で、ようやくカナキチの言っている事が分かったのだった。

ワサミン
「ごちそうさま!!」

ワサミンは『かなきち定食』の味に満足すると、会計を済ませる為レジへと向かった。

カナキチ
「480Gになります。」

早速ワサミンは着物の袖から財布を取り出そうとするが…

ワサミン
(財布が…)
(無い!?)

自らをの財布がうっかり無くなっている事に気付いた。

どこかでうっかり落としたのだろうか?

ワサミンの額から大量の冷や汗が流れだした。

ワサミンはしばらく悩んだ末、ついにある行動に意を決した。

ワサミン
(こうなったら…)
(食い逃げするっきゃない…!!)

ワサミンは勢いよく店の扉を開けると、一目散へと走り出した。

カナキチ
「ま、まさか食い逃げ!?」

だが、カナキチも負けじと…

カナキチ
「逃がさへんよ!!」

自らの仕事道具である大振りの巨大包丁を片手にワサミンを追った。

2人のやり取りを店の外で見ていた客引きのアーニャンが言った。

アーニャン
「何やおもろい事になったで!」

アーニャンはまるで他人事のようにそれを面白がった。
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