土方生誕祭

□紅いネクタイ
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子どもの日という鬼の古典教師には似合わない日が誕生日な先生。高校を卒業し
やっと恋人らしいデートができるようになった今日。

先生と最近できたばかりでなかなか評判の良いイタリアンのお店へ向かう。黒塗
りのワゴン車に慣れたように座る。

土方先生は黒のサングラスにTシャツ、ジーンズ姿であたしを迎えてくれた。


「先生!お誕生日おめでとうございます」


「あぁ。ありがとう」

車の中は洋楽がかかっていた。先生の匂いで満たされた車内はどんな場所より心
地よくて。




隠れ家チックで落ち着いた感じのイタリア料理店で楽しい一時を過ごせた。サッ
クスの生演奏が心を震わす。

土方は料理を済ませ演奏に耳を傾けながら煙草を燻らせた。

くせで髪をかき分ける仕草とか、美味しいものを食べた時に眉間に眉をひそめた
りする表情だったり。

全部が新鮮で愛しい。

千鶴の視線に気付いたようで土方は小さく笑みを溢すと立ち上がり店をあとにし
た。




「これからどうする?」

土方の言葉にハッとしたように千鶴は運転に余念がない彼を見つめた。

調度、信号に引っ掛かり際。千鶴はバックからプレゼントをだした。


「気に入って頂けるかわからないのですが…」

千鶴の言葉に土方はその箱に包まれたモノを見つめた。

「ネクタイか…」

信号が変わり土方は片手に受け取ったプレゼントを持ちながらパーキングエリア
を探した。

「いつも同じネクタイを先生はしていらっしゃった気がして…」

千鶴の言葉にプッと吹き出した土方。

「確かに。ネクタイは一本しか持ってねぇ。ありがとうな。千鶴」


土方はよく細かいところまで見ている女だと思った。横目からでもわかるほどに
朱色に染まった頬の彼女が愛しい。

抱き締めたい。
昔できなかったこと全部したい。

情欲がふつふつと沸き上がるのを我慢するようにパーキングエリアまで車を走ら
せた。




「紅か」

「はい。店員さんに彼氏さんの特徴をと聞かれて…。一番これが良いんではと言
われました」



パーキングエリアで一時的に車を止め、プレゼントを開ける。
紅色のネクタイは上質感が漂い千鶴のセンスの良さを理解できた。

ニコニコと自分の事のように喜ぶ彼女を心から欲する自分も理解できた。


「千鶴」

「はい…」

触れるだけの口付け。
何回も何回も触れては離してを繰り返す。

足りない気持ちが、もっと欲しいと思う気持ちが溢れた。

もう
待てない。



後部座席を倒し二人は重なりあう。焦れったいくらい唇を重ねて。舌で口内を侵
す。

これまでの我慢がパンと音を立てて弾けたように。止まらない。

結わえた千鶴の髪止めを取ると長く艶やかな長髪が彼女の白い肌にかかる。狭い
車内で彼女の服の中をまさぐる。

抵抗もつかの間で。いつしかされるがまま。


「…っ…んぁ…ん…」

どちらの唾液かもわからないが口から零れ。千鶴の服を強引に脱がせ露になった
白い肌と紅い蕾に心臓が激しく高鳴る。

倒した後部座席に寝かせ、その上に股がり、甘く激しく愛撫を繰り返す。

吸い付く柔肌に紅い華が散り、まるで雪の中で咲く桜花のように美しい。

舌の動きにあわせて千鶴の甘く切ない声が響いた。



「…――っ…あ!」

胸を力任せに揉むとすぐに立ってしまう。可愛い。愛しい。壊したい。

色々な感情に揺れながら、蕾の頂きをちゅぱと吸う音に千鶴は羞恥から目を潤ま
し閉じる。


「……ちづる…見ろ……」


優しいのに恐く切ない声が響いた。うっすら見開いた瞳から一筋の涙が流れ。月
明かりが車内を彩る。先生の筋肉質な身体が艶美で。

クチュっとイヤらしい音が響く。土方は千鶴の足を開かせ顔を埋めた。

抵抗は無意味に等しく。かつてない快感に一層声色が上がる。

「…せ…ぁあ…あ…ん」

何度も溢れた愛液を貪る土方。キモチよさに焦れったさ。

切ないくらい欲しい。
あなたが欲しい。

あたしは快感に声を上げた。鳴けばなくほどに土方先生は妖しく笑みを溢す。

長くて綺麗な指があたしの中をぐちゃぐちゃに侵し溢れた愛液を見せびらすよう
に舐めた先生。

恥ずかしいのに綺麗で目が離せない。

「…っ…ん…ああ…」

きゅと中が収縮し彼の指を締め付けた。

「…ち…づる…愛してる」

耳元で優しく囁くとちゅと音を立て耳にキスを落とした先生。
溢れた愛液は座席を汚し、汗ばむ身体が重なる。重量のある指よりも大きな欲望
があたしの中を貫く。

キモチよさと頭が真っ白になる二重の感じにただ鳴くだけ。

もっと下さいと先生に乞うといくらでもくれてやると――、遠退く意識の中で聞
こえた。




「身体は大丈夫か?」

「はい…。あの…//」

千鶴は恥ずかしそうに首指差す。

「なぜネクタイがあたしの首に…?」

クスッと笑う土方は千鶴の首に巻き付いた紅いネクタイを見つめた。

「俺への最高の誕生日プレゼントはお前だから…デコレートしてみたんだが?」


甘ったるい余韻が明け方まで二人を包んだのは言うまでもない。


fin







ありがとうございました^^

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