連載小説

□Black更正記 ♯1
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第一話



あるところに、何処にでもいるような不良がいた。
ごく普通に流される“極悪最強”の噂。
まあ、噂が事実を上回るというのはよくある話で、彼もそういった噂により、周囲から距離を置かれていた。
しかし、彼自身この状況には何も不満はなかった。
逆に、人が寄ってこず、隔離されたような空気感の方が心地好かった。

そんな彼のもとに、転機が訪れる。
今年転校してきたばかりの転校生:御浜 俊樹は、転校早々に生徒会長になるという偉業を遂げた。
その生徒会長になる上での公約がこうだ。

「僕が生徒会長になった暁には、この神埼西高校の不良生徒を、全員更正させることを誓います。」

絶大な支持を持った理由は殆どがこの公約の為だろう。
不良の彼と生徒会長な転校生の彼が通う神埼西高校は、男女共学、全校生徒数千人を越える、地区内では大きい高校なのだが、全校生徒数の三分の一を不良生徒が占めているという問題点があった。
一般生徒の被害もままにあり、当時の生徒会も相当手を焼いていたのだ。
そんなところに、転校生で生徒会長に立候補するという者が現れたのだ。
不良生徒の定評があるこの高校で、生徒会長をやると立候補してくるのだから、それ相応の力があるのだろうと、当然支持は集まる。
実際、他にこの高校の生徒会長になり、不良達を治めようなどという生徒は他におらず、極めて単純に。
彼、御浜 俊樹は生徒会長になったのだった。

就任挨拶の際、御浜はにっこりとステージのマイク前で微笑み、

「皆さん、どうぞ宜しくお願いしますね。」

と、裏も表も感じさせない笑顔で言って見せた。
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