連載小説
□Black更正記 ♯2
3ページ/9ページ
「「「なぁーにしてんです?わーかッ!!」」」
二人の居る部屋の襖を三人の男が勢い良く開ける。
御浜は三人が来たと同時に「チッ」と舌打ちした。
「何動けない人相手にサカってるんですか…
とりあえず薫さんの上から退いて下さい。」
薄い茶髪を肩で結わえた温厚そうな男:綱手が言う。
さっき御浜と一緒に居た男だ。
綱手がそういって御浜を退けると、矢崎を丁寧に上体だけ起こし、Yシャツを半分脱がせて背中の傷を診ていく。
「ッたぁく…
俊樹、てめぇ場所と状況を考えろよ。
ここは格式高い“森羅組”の総本山「御浜家」で、今は下っ端や各組の代表まで集まってる《大宴会》なんだぞ?」
色黒で体格の良い男:虎雄が、御浜を見兼ねたように溜め息混じりに言う。
「そーっスよ!
まったく、いくら狙ってた佐木部のグループを仕留められそうだからって、よりによってこんな日に暴れてくるんスから…。
それと虎雄先輩。
ヤクザの組をいくら有名でも格式高いとは言わねっスよ?」
そばかすのある背の高い青年:鉄流が、虎雄に便乗しながら訂正を入れる。
三人の男達の話を聞いて、矢崎は、一度耳を疑った。
「??? …ちょっと待て。
い、幾つか質問していいか?」
思わず矢崎が挙手する。
「別に構わないけど?」と場にいる四人の男達は矢崎を見つめる。
「まず訊くが、《御浜家》ってどういう家?」
『“森羅組”の総本山。』
「…森羅組って何?」
『只今日本一の規模を誇るヤクザ一家の組。』
「……何でコイツ(御浜)を若って呼ぶんだ?」
『森羅組の十七代目当主だから。』
「………ぇーと?
要するにアレか?」
矢崎は暫く頭を火が出る程フル回転させて考えた。
そしてやっと結論が出た時、絶対安静もまた忘れて立ち上がり、御浜をおもいっきり指差して叫んでしまった。
「じゃあお前…ッ!!
や、ヤクザの、くっくく組長ッッ!!?」
『御名答。』
四人は一斉に指を差し返した。