連載小説
□Black更正記 ♯3
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「 で、何この有り様。 」
台所を見た御浜が、低く沈んだ声を漏らす。
御浜の目の前には、テーブルいっぱいの空になった大皿が積まれており、それを流しで洗う矢崎の姿があった。
洗い終わった皿をゴトリと脇に置き、次に洗う皿を取ろうとした矢崎が、台所の入り口すぐのところで立ち尽くす御浜をみつける。
「なんだ、今頃起きてきたのか?
てめ… と しき…ッ。」
矢崎は律儀に昨日の言い付けを守り、呼び方を訂正する。
はっきり言って矢崎としては、また豹変されても面倒臭いと思っていた。
しかし御浜の頭にそんなことは今は無い。
「薫… 朝飯作ったの?」
「ん? あぁ、咲耶さんが酔いざめに何か食いたいって… んで作ってたら、酔い潰れてた傘下の組の連中だとか他組の幹部…?だとかいうのまで起きてきてよ。
すんげぇ勢いでみんな食うから、冷蔵庫がほぼ空になっちまったぜ…。」
「 … 俺の分は?」
「は? んなもん有るように見えるか?
お前も手ぇ空いてるなら皿洗い手伝えよ。」
その言葉を聞くや否や、プツンと何かが音をたてて途切れた。
途切れたモノ→御浜の良心
《 ガシャン 》
「 ッ!? 」
御浜が突然、矢崎の手首を強引に流しに押さえ付ける。
その拍子に、矢崎は持っていた皿を落としてしまった。
「 ッおい!
何すんだよ!
皿割っちまったじゃねぇか!!」
「何してんだはコッチのセリフだ。」
「!!?」
御浜の目は冷たく据わっている。
吐く言葉は昨日の豹変時よりも低く冷淡で。
まるで、刀剣のような鋭いオーラを感じた。
「な なんでコイツ こんな怒ってんだ?」
矢崎は御浜の態度に内心ビクつきながら疑問に思う。
その矢崎のわかってない顔を見て、御浜は更に気を悪くした。
「 解らないならいい…
俺の朝飯はないんだったな…
なら、俺は薫を“喰う”。」
「は… ?
何言って… ぅあッ!? 」
キョンとしていた矢崎の首に、御浜は躊躇無く噛みついた。
矢崎の首にはくっきりと歯形が着き、一部からは血が滲み出た。
滲み出た血液を、御浜は患部に唇で食い付き、口内で舐めとる。
その何とも言えぬ感触に、矢崎は嬌声をあげる。
「 んぁッ …っ ぅ、ん 」
その嬌声に、更に御浜は煽られた。
段々と御浜の行為がエスカレートしていき、やがて矢崎のYシャツの裾を捲り出した。
その時。