連載小説
□Black更正記 ♯4
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《 バァンッ 》
「只今帰りました。
矢崎 薫、無事連れて来ました。」
生徒会室の戸をまたも勢い良く開け、先程の男子生徒が、担いでいた何故か力なく気絶している矢崎を肩からずり下ろす。
「 …ねぇ、九条くん…
くれぐれも丁重に、お迎え行ってきてって言った筈なんだけど…
一応聞くよ?
薫ちゃんなんで気絶してるの。」
「ここへ連行する際に凄まじく暴れたので手刀で静まらせました。」
「 …いいかい九条くん…
人はそれを“誘拐”と言うんですッ!
誰が「拐って来なさい」なんて言ったかなッ!?
あくまで薫ちゃんの意思を尊重しつつ、上手いこと口車に乗せて連れてきてって僕は言ったのにッ!!」
『 会長のそれもどうなんです? 』
男子生徒に激しく説教を浴びせた御浜に、生徒会室の者達全員から突っ込みが入った。
「だって薫ちゃんが素直に他人の言うこと聞くわけ無いじゃん!!
それより薫ちゃんちゃんと起きるんだろーね…
さっきからピクリともしないんだけど」
「若干手応えが鈍かったような…
もしや首の骨ヤりましたか?」
「「丁重に扱え」って言ったのに随分と容赦無い扱い方してんじゃないかちょっとおおおぉぉッ!!?」
荒ぶる御浜。
「薫ちゃん起きて起きて」
と必死になって御浜は矢崎の身体をガクガク揺すった。
「 …ゔ …と しき?」
揺すった甲斐あって矢崎が目を覚ます。
「よかった、薫ちゃ ん゙ッ!?」
「だぁ〜れを上手いこと口車に乗せて連れて来いってえぇぇッ!!」
《 ギリギリ 》
矢崎は自分を揺り起こした御浜の首を思いっきり両手で鷲掴む。
「…さっ 流石だネッ…
き… ぜつ しててもッ
聞ッ こえ…てるぅ なん、てぇッ… !」
「うるせぇッ!!
お前の所為で変な男に拉致られたじゃねぇか!
てっきりお前が来たと思って拳構えちまっただろッ!!」
「僕が薫ちゃん迎えに行ってたら僕殴られてたのッ!?」
そんな夫婦漫才のような口喧嘩も一段落したところで、矢崎が御浜から手を放して質問する。
「で、俺をこんなトコに呼んで何の用だ?」
「ケホケホッ
…もー、薫ちゃんたら往生際悪いなぁ
昼にも言ったでしょ?
生徒会に薫ちゃんを入れるって」
「幻聴であってほしかったあああぁぁッ!!」
矢崎はその場で崩れ落ちるのだった。