連載小説
□Black更正記 ♯4
3ページ/9ページ
「さーて!
生徒会に入るにあたって、まずは生徒会役員紹介でもしようか!」
横で仏頂面をしている矢崎の肩を御浜は逃がさぬようにがっしりと掴んでいる。
矢崎は未だに生徒会に招かれるのが不服で、ぶつぶつと文句を垂れていた。
しかし、いざ生徒会に招かれたとなると、少々周りの人物達にも目を向けてはみる矢崎。
見たところ、結構変わった風貌の者達が揃っていた。
眼が隠れるくらいあちこちの髪が伸びっぱなしのひょろ長い男子生徒に、
なにやら無表情に殺気を放つ女生徒、
そして矢崎を拐った(?)先ほどの男子生徒。
あと一人、活発で優しそうな感じの普通な女子生徒。
これに、正体は極道の現当主である御浜が加わると、このメンツの中で普通そうな女子生徒だけが、なんだか異様に浮いている感じがした。
「よし、じゃあまずは副会長二人から自己紹介して!」
「了解しました」
「はい」
立ち上がった二名は先程矢崎を拐った男子生徒と優しそうな女子生徒。
「じゃあ私から自己紹介させてもらいます!
副会長を務めさせてもらっています、3年1組 檜垣 朱羽です!
これからよろしくね、矢崎くん!」
ニコッと優しげな笑顔を向けられれば、矢崎はどう返していいかわからず戸惑って、思わず顔を背けて頬を染める。
一目見て惚れ惚れしてしまいそうな笑顔だった。
(ああいうのをマドンナっていうんだな…)
矢崎はそう思った。
と、その頃。
そんな矢崎の後ろで御浜はメラメラと嫉妬心を燃やしていた。
「…ちょっと〜?
何赤くなってんのさ、薫ちゃーん。」
「なっ、ああぁ赤くなんかなってねぇよ!
別にッ!!」
「なになに、矢崎くんたら照れてるの?
案外可愛いのね?」
そうして檜垣と御浜が矢崎をからかい始めると、大きな咳払いが聞こえてきた。
「そろそろ…自己紹介させていただいても?」
「…よ、宜しくお願いします…」
騒がしくしてしまった三人は、申し訳なく思い恐縮した。
「では、改めて紹介させて頂こう。
自分は2年2組所属 九条 宗彰。御浜俊樹を会長の座から蹴落とすべく現在は副会長という役職に就き寝首を掻こうと毎日狙っている。」
「 ちょっと九条君!?
今さらっと下剋上宣言が聞こえたよッ!? 」
「勘違いしないでくれ御浜。
これは“下剋上”ではなく、“殺人予告”だ。」
「 さらにタチ悪いわッ!!! 」