□現実空想地獄絵図
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「僕なんて死んでしまえばいい」


隣にいる人は皆なんでとききかえした

僕は答えなかった。

僕の周りには誰もいない

僕だけ一人

雑音の針山に一人裸でほおりだされた僕を

誰も助けない

誰も哀れまない

誰も見ない

本当に一人だったら良かったのに

誰かがいると返ってむなしい

僕の口からかすかに漏れたほんのひとかけらの言葉さえも

許さぬと誰かが叫んだ

灰色の地獄には二つ頭の天邪鬼

嘘と矛盾と死が混ざる

狂っている

僕だけが?

狂っている

太陽に手を翳しても

目に入るのは無形の光

水のように隙間からこぼれ

僕の視界を焼き尽くす

色を捨てた世界は

色あるものは何でも貪る

欲にまみれた泥沼の底

ここは地獄だ

地上は何処だ?

手探りで探しても見つかるはずもなく

空を煽った手の平で

小さな悪魔が笑っている。

生命の鎖につながれて

自由になれないこの体を

僕はどうやって休めればいい。

何処に行けばいい。

何も知る必要はない。

全部全部偽りなのだから。

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