ぷよ小説2

□マキアート
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「あなたなんかだいっ嫌いっ!ですわ!!」


「ああ、それは光栄だね。僕だって君なんか大嫌いだよ。」


『またやってしまった』


本当に言いたい事とは全く逆のことを言ってしまう自分にいつも自己嫌悪してしまう。


本当は、嫌いだなんて微塵も思っていない。


むしろ、彼のことを考えるだけでいてもたってもいられない気持ちになるのに。


「私って…本当にだめね。」


深いためいきをひとつつくとラフィーナは窓の外を眺めた。


校庭ではシグとアミティが仲良く追いかけっこをしている。


アミティみたいに素直で可愛い子になれたらクルークも私を見てくれるのかしら…?


ふとそんな事を考えたが、自分がアミティのようになるなんて全く想像がつかない。


イメージができないことを実践に移すのは難しい。


それにクルークはまさか私が自分を好いているなんて気づいていないだろう。


急に優しくしたからって気味悪がられるのが関の山だわ…。


「何一人でたそがれてるんだい?」


心臓が跳ね上がるかと思った。


声の主は今まさに話したくない人物で。


「べ…別に黄昏てなんかいませんわ!!」


あまりの不意打ちに声が裏がえってしまう。


気づけばみんなは帰ってしまっていて、教室は二人きり。


「もうとっくに学校終わってるんだけど、帰らないの?」


クルークが不審げに問う。


私は何て言ったらいいか分からず下を向く。


こうなってしまっては言い訳すら浮かばない。


「…まあ無理に問いただす気はないけど…、気が済んだら帰りなよ?」


そう言ってクルークが私に背を向ける。


行ってしまう。


「クルーク!!」


気づけば私はクルークを呼び止めていた。


クルークがこっちを向く。


「…どうかした?」


どうしちゃったんでしょう、私は。


「…こんな日暮れにレディを一人置いていく気ですの?」


「は…?」


「だから!私の家まで送らせてさしあげてもいいと言っているんですのよ!!」


あっ…またまたやってしまいましたわ…。


引っ込みどころがつかない人差し指をクルークに向けたまま私は固まった。


どうしよう…。


「…分かったよ。」


「え」
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