ぷよ小説2
□真夏の大三角形
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『あ、また見てる』
僕は彼女の目線の先に目をやる。
そこにいるのはやっぱりあの人で。
「りんごちゃん、またりす先輩のこと見てたでしょ?」
からかい半分でりんごちゃんに尋ねる。
りんごちゃんは固まったかと思うと次の瞬間には一気に顔を赤らめて。
「ち、違う違う!!私はただ先輩の持っているフラスコに入っている液体に興味を示していたわけであって!!」
うわ、意外ときつい。
必死で隠し通そうとするのが何よりの証拠であるというのに。
お馬鹿なりんごちゃん。
もっと僕をいたわってはくれないかなあ?
「ふうーん☆さすがりんごちゃんは勉強熱心だよね〜。」
「だから違うって!!まぐろくんのバカ!!」
ぶんぶんと腕を振り上げる彼女を見て思わず乾いた笑みがもれる。
「ねえ、りんごちゃん?」
りんごちゃんがぴたりと動きを止める。
「なんですか…?」
さすがに僕の声色が変わったのに気づいたみたい。
まずったかなあ。
こうなったら。
「ちょっと耳貸して?」
「??」
疑問符を浮かべながらりんごちゃんが僕の横に来る。
すごく無防備。
自分のことを好きな男子にこんな接近しちゃって。
本当人の気もしらないで。
そう思ったらなんだか意地悪したくなってきた。
僕はりんごちゃんの耳にそっと手を添えて言った。
「りんごちゃんの……ばーかっ!!」
「っっ…は!!?」
りんごちゃんはわけが分からないといった表情で僕を見た。
「学年期末テストでも一番だった私にばかとはなんですか!ばかとは!!」
心外なことを言われかなりご立腹なようだね。
そんなムキになるりんごちゃんを見たらモヤモヤした気持ちが少し落ち着いてきた。
あーあ、僕って単純なのかも。
りんごちゃんが僕の言ったことにいちいち過剰なまでの反応を示すのがこんなに嬉しいとは。
「…りんごちゃん、面白い。」
ぷっと吹き出して笑うとりんごちゃんは更にヒートアップして怒り出した。
「もうっ!!私をからかってたんですか!?ひどい!!ささきまぐろ君とは絶交ですー!!」
頬を膨らませてぷりぷりと怒るりんごちゃん。
好き。
だからりす先輩には渡したくない。