ぷよリレー小説
□第六章 哀れな変態は天空へ
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その頃、どこかの森の中。
「うふふ…、シェゾさん、ついに私に全てを捧げる気になりましたのね…!」
「ああ…、ウィッチ…、服だけと言わず、俺の全てを…お前にくれてやる!!」
「あら♪じゃあさっそく遠慮なく頂きますわ★」
「…なんて言うと思ったかあああ!!」
シェゾがいきなり叫んだ。堪忍袋の尾が切れたらしい。
「いきなり叫ばないでくださる?私の家では追っ手がすぐ来てしまうからとここにいるのに」
「知るか!つか、いい加減にしろこの展開。戻せよ魔力」
淡々と対応するウィッチとわなわなと震えるシェゾが何とも対照的である。
「どうにもできませんわね。サタン様は魔力だけは無駄に有り余ってますし、駄目だこりゃ〜ですわ」
「サタン…次会ったら確実に殺す…!」
シェゾの周囲に負のオーラが漂う。
「まあまあ、サタン様を殺る前に1つ忘れていることがありましてよ」
「何だ」
「あなたの黒い服が…欲しい!ですわ!」
白い服だけでは飽き足らず、ウィッチがその言葉と同時にシェゾにがばっとつかみかかった。もちろんシェゾが素直に応じるはずもなく。
「い・や・だ!!」
「大人しくしてらっしゃい!!」
森の中でおいかけっこをする2人はまさに森のくまさんのようだ。
(川に飛び込んで逃げればなんとかなるかもしれん)
シェゾは咄嗟に考え、水音がするほうへ方向転換する。
「待ちなさいってばぁー!」
ウィッチもそれに続く。
「ふぅ…稽古のあとの水浴びは気持ち良いわぁ」
そこは透き通った川の水が太陽の光を惜しげもなく反射し、綺麗な空気と爽やか緑に包まれた一種の幻想的な空間が作り出されていた。そして、その空間に女神のようにたたずんでいるのは、藍色の髪の毛と絶妙なスタイルの持ち主、ルルー。水浴びで全裸のため、それはさらに美しく見える。
「それにしてもさっきから騒がしいわね…ミノは置いてきたはずだけど…」
ルルーがふと緑へ目線を移す。そこに飛び込んできたのは、
「はっ!残念だったなウィッチ!俺の服を奪おうなんざ10万年はや」
「きゃあああああ!!変態ぃぃぃぃぃ!!」
「うがあぁぁぁああ!!?」
不幸な変態魔導師シェゾ・ウィグィィであった。彼の体がルルーの鉄拳によって上空100mに吹っ飛ばされたのは言うまでもない。
「あら、ルルーさん」
「あら、ウィッチ」
たった今空へ消えたシェゾを追ってきたウィッチがルルーと対面する。
(これまでの一部始終をルルーさんに聞かせたら本気でサタン様の命は保証しかねますわ…)
ウィッチは密かに冷や汗をかいたのだった。