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□ ココロノオト
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ジュンス視点
「じゅんすぅ〜?」
ボクを呼ぶあの声。
今までだって何百回、何千回ってきいてるはずなのに。
いつからなんだろう。その声に胸の奥がきゅっーとしめつけられるようになったのは……。
優しく響く低い声と、目じりをさげながらほっぺを可愛く膨らまして呼ぶ、その愛らしい顔はいつだって一緒で。
そんな声にボクがどんな思いをして、どぎまぎして、どうしたらいいかわからなくなってるなんて、ゆちょんは1ミリだって知らないと思う。
楽屋のドアが開いてボクを見つけたゆちょんは、顔に光が当たったようにまぶしそうに目を細めた。
「なに?」
座ってるソファーからゆちょんを見上げるようにいったら、倒れこむようにボクの腕を絡ませて隣りに座った。手を握りながらボクの顔を見つめるゆちょん。
「ジュンス。」
ほらまた。
のどの奥がきゅっーとして、声が出せない。ボクの目の前で、そんな声でそんな顔でジュンスなんてよばないで。
冷静になろうと頭で考えれば考えるほど、心はあせるばかりで、
「なっ、なんだよ。もう、暑いからくっつくなよ!」
手を振り払うように少し乱暴に持ち上げたら、『えっ?』って驚いたゆちょんとばちっと目があって、ボクは一瞬にして耳まで熱くなるのを感じた。
「ちょっ、ちょっとトイレ…!」
固く強ばった身体をおこして立ち上がり、楽屋のドアを急いであけた。
「ジュンス〜。どこいくの〜?」
廊下の奥からユノ兄の声が聞こえたけど、ボクはそのまま小走りにかけだした。
ゆちょんのえっ!って驚く顔が頭の中でぐるぐるまわって、ぎゅうと握った拳で何度も目を擦った。
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