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□ アスヘノトビラ
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「………ゆちょ……
……ゆちょ〜ん……
ゆちょんてば〜っ。……起きて!
もう。ゆちょなっ!」
「………ジュンスぅ?」
「寝坊助ゆちょん、起きろ!」
あぁ。ジュンスが今日も起こしにきてくれた。
その優しい声がうれしくて、オレは目を瞑ったまま、またむにゃむにゃと温かい布団にもぐる。
「ゆちょん起きて。時間。」
「ジュンスぅ〜。手、引っ張って?」
温かい布団から手だけを出す。
オレはちょっとだけどきどきしながら、ジュンスの温かくてちっちゃな手が、オレの手を優しく握ってくれるのを待つ。
はぁ。ってジュンスは大きく息をはく。でもそれは柔らかくて、温かい。
見えなくても、ジュンスの表情はわかる。真っ暗な布団の中で、オレはなんだかうれしくて目をぎゅっと瞑る。
その手をオレが引っ張って、胸に抱き寄せるのを知りながら、ジュンスは黙ってオレの手を握る。
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