企画

□誰も知らない君
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「おっはよー!!」

今日も爽やかなあいさつをする君。

「あ、名無しさん!眠そうだな?」
『うん。昨日遅くまで起きちゃって』

そういうと、うーんと唸ってからニヤニヤし始める佐江ちゃん。

「変な番組とか見てたんじゃないのぉ?」
『なっ!?バカやろう!そんなわけあるか!!』

ニヤニヤし続ける佐江ちゃん。
ムカつくので、デコピンしてやる!

「あだっ!何すんだよ!!」
『ムカついたから』
「名無しさんのバーカ!」
『佐江ちゃんには言われたくないね』

あっかんべされた。

「もういいよ!先生きたから席戻る!!」

そういって戻っていった。
かっこいいのになぁ。
バスケ部に入ってて、もちろん運動神経抜群で、優しい。
だから、モテル。
でも、佐江ちゃんって可愛いところもきっとあるんだと思う。
見てみたよね。
そう思うのって僕だけ?

「ねぇ、、歴史教えてよ」
『やだよ』
「お願い!!」

どうやら、歴史のプリントやるの忘れてしまったらしい。
まぁ写すならいまだよね。
昼休みだもん。

『なんでやらなかったの?』
「バスケの練習の後、ご飯食べて、お風呂入って、疲れたから寝た!」
『仕方ねぇな。ほら。』
「やったーー!!さすが名無しさん!!」

満面の笑みでプリントを写し始めた。
なんか、イタズラしてやろう。
何しようかな?

「何?」
『へ?』
「いや、なんかジーッて見てるから」
『あぁ、イタズラしたいなぁっと』
「べー!やらせません!」

あ、今のは可愛いかも。
そういや、佐江ちゃんって柏木と仲良かったな。
付き合ってんのかな?
いやいや、僕に関係ないだろ。
あ、でも可愛いとこみたいって思ってるってことは、、、好きなのか?
わかんね。

「佐江ちゃん」

可愛らしい声が佐江を呼ぶ。

「あ、りんちゃん!」
『おー柏木』

柏木の前ではカッコつけたがるからな。
佐江ちゃん。

「ね、佐江ちゃん。ちょっといいかな?」
「いいよ」

なっコノヤロウ!

『ちょっと待て!プリントどうすんだよ!?』

あのバカ。行っちゃったよ。
あぁ、もう知らね。
結局、佐江ちゃんは遅刻ギリギリで帰ってきた。
先生に当てられて焦ってるし。
自業自得だぜ。

「だぁぁぁ!!めっちゃ焦ったよ!!」
『まぁ、佐江ちゃんが悪いだろ?』
「名無しさんの意地悪!」
「おーい!佐江!バスケ行くぞ!!」
「あ、才加!」

もう、放課後か。
僕も帰ろうかな?

「あ、ねぇ名無しさん。今日さ、部活終わるまで待ってくれない?」
『え、別にいいけど』
「本当!?やった!!」

こっちを見て、いつもとは違う笑顔を見せた。
なんだこの胸の高鳴りは・・・?

「早くしろよ!!」
「今行く!!じゃ、後で」
『お、おぅ』

走り去っていった佐江たち。
やっべぇ。ずっとまさかとは思ってたけど・・・・。

『やっぱり、佐江ちゃん好きだな』
「だーれが好きって?」
『おわ!?あ、柏木』

ふわっと笑うこの人。
可愛いんだけど、腹黒いとか何とか。
ま、僕には関係ないんだけど。

「へー名無しさんって、佐江ちゃんが好きなんだ?」
『みたいだね』
「意外だね」

大げさなリアクションをする。
そういうところかな?

『そうかな?』
「うん。可愛い系の子が好きと思った」
『佐江ちゃんも可愛いよ』

さっきの笑顔見てないから言えるんだ。
乙女だったぞ。

「ふーん」

興味なさげだな。
自分から聞いといて。

『っ!?』

柏木の顔が近距離まで来たかと思うと、そのまま耳の横まで顔を移動させた。

「私とか、、、、ダメ?」

あれ?柏木は佐江ちゃんじゃなかったのか?

「ふふ・・その分じゃ、私と佐江ちゃんが付き合ってるって思ってたんでしょ?」

驚きすぎて声がだせないので、頷く。

「やっぱり。違うんだよ。私たちは、幼馴染なだけ。。。。で、答えは?」
『いや、佐江ちゃんが好きだっていったじゃんか』

あ、声がでた。

「そっか。振られちゃいました。」

あからさまに、ションボリしてみせる。

「チャンスができたら、、、夢中にさせちゃうぞ!!」

つまり、諦めないってことですね。
可愛く決めてそのままでていった。
結構、時間たってるな。
お、そろそろ佐江ちゃんも帰ってくるんじゃないか。

「名無しさん!!あぁ、よかった。起きてた」
『そりゃ、そうでしょ?いつでも寝てるみたいに言わないでよ』
「そうじゃん」

部活あとも爽やか。
いや、爽やか度が増してる。

『早く帰ろ?一緒にかえるんでしょ?』
「うん」

一緒に校舎を出た。
緩い坂道を上る。
いつもは元気な佐江ちゃんが、何故か静か。

『佐江ちゃん?何かあったの?』
「あ、いや、何もないよ」
『そう』

絶対何かあったろ。
言わないなら、聞かないけど。

「あ、あのさ!」
『なに?』
「え、あ、その、名無しさんってさ、好きな人とかいるの?」

あ、乙女佐江ちゃんだ。

『いるかもね』
「かもってなに!?あぁもぅ。」

可愛い!!ほっぺたを膨らませる姿が可愛い!!
万歳!乙女佐江ちゃん!!

「ちゃんと言ってよ!!」
『あ〜、どうだろか?』

どんどん、怒り顔になっていく。
ちょっとやばいよね。うん。

「佐江は名無しさんのことが大好きなの!!そしたら、すっごく気になるじゃん!!好きな人とかいるのかな?とか、付き合ってるのかな?とか!!!!」

あれ、これ告白じゃね?

『え?あ、あのさ「あ、いや、あ〜!!何も言ってないよ!!へ?あ?佐江何言ってんのかな?はははは・・・・」

顔を赤らめながらごまかそうとする佐江ちゃん。
これは、期待してもいいよね?
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