企画

□時を超えた・・・
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「名無しさん?どうした?」
『うーん。横山さんのこと好きだなって思った』
「それは、告白なん?」

ほら、ちょっとバカにしたように笑う。
いっつもこれだ。

『本気っていったら?』
「うちを好きになったらあかんよ?」

僕のこと嫌いなのかな?

「名無しさんのことは、嫌いやないよ?」
『へ?なんで分かったの?』
「それくらいうちも名無しさんのこと想ってるってことや」
『じゃ、なんで!?』

横山さんが言ってることが分からなくなった。

「うちじゃ、一緒にいられへんから」
『そんなことないよ!』
「今度ちゃんとしゃべるさかい」

そういって、横山さんは頭を撫でて横を通り過ぎていこうとした。
そんな、横山さんが消えそうだった。

ギュッ

「なんやの?」

少し嬉しそうな声が聞こえた。

『横山さん、、、僕の前からいなくなったりしないでね』

横山さんは、無言で頭を撫でていた。
ずっと、抱きついて離そうとしない僕に困ってるかのようにも思えた。

「ほな、また明日」
『うん。明日』

僕が落ち着くまで、横山さんは抱きつかせてくれていた。
優しいな。
でも、何故ダメなのかは教えてくれなかった。
引越しとかでもするのかな?

「名無しさんーー」

席についてぼーっとしていると、仲良しのさっしーが話しかけてきた。

「なんか、今日ずーっとおかしいよ」
『えーどのへんが?』
「なんか、ボケーってアホみたいに」
『アホは余計だな』

叩かれるとでも思っていたのか身構えて、固く目を瞑るさっしー。
いつまでたっても、こない衝撃に恐る恐る目をあける。

「やっぱりおかしいよ!!」
『うるさいなぁ』

なんか、いつも人が叩いてるみたいにいいやがって。
放課後が待ち遠しい。
今日は、なんだか横山さんに早く会いたいんだ。

「じゃ、明日も普通授業だから」

担任のそんな話は正直どうでもいい。
やっと、終わって茶道室へ向かう。

『横山さん!!』

おかしいな。今日も、ここにいない。
なんか、嫌な予感がする。
昨日の場所へ行ってみてもいない。

『っはぁ。ふ、、はぁ、、、』

どこにいったんだよ。

校内に戻り、走り回って探す。
途中人にぶつかりそうになる。

『どこ・・・どこだ??横山さん。。』

教室、空部屋、屋上、保健室、体育館、図書館、理科室、音楽室、、、、、、
この学校全体探しても見つからない。
先に帰ったなんて、なさそうなのに。

「そんなに、息切らせてどうした?」
『あ、先生』

多分、この学校で一番長くいる先生だ。

『あの、横山さんみませんでした?』
「横山?横山・・・・」

見たんだったら言ってくれ、知らないんだったら早く知らないと・・・・

「横山なんて生徒この学校にはいないぞ?」

何言ってるんだこの人?
いるから、遊んだりしたんじゃないか。

『いや、いるはずです!!』
「ここにある、生徒名簿見てもいない」

ダメだ。。悪いことしか浮かばない。
もう一度茶道室へ行ってみよう。

『横山さん!!』
「なんなん?騒々しいわぁ」

よかった。
なんだ、いたじゃん。

『横山さんがいなかったから、心配して』
「あぁ、ちょっと出かけてたんよ」
『そっか。よかった』

いつものようにしている横山さん。
逆に不安でいっぱいになってしまうほどに。

「そんなん、不安そうにせんでもええよ」

そう言いながら、頭を撫でてくれる。
でも、なんだか弱々しい。
優しいというか消え入りそうな感じだ。
そんな手をぎゅっと握る。
やっぱり冷たい。

「そんなんぎゅっとされたら、どうしていいか分からへんくなるやろ・・・」
『やっぱ、どっかに行っちゃうの?』
「そやな・・ちょっとここからでよか?」

横山さんに引っ張られて茶道室から出た。
廊下はもう誰もいない。
そりゃそうだ、下校時間はとっくに過ぎていいる。
外はいつの間にか真っ暗だ。
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