モワッときた!!

□自転車と君と。
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どうやら、由紀にだけは言ってあったらしい。
もしかして玲奈、僕の周りには言ってあるのか?
仲良しだった由紀にも言ってあるし。

柏「言っちゃダメだったんだけど、玲奈も絶対会いたいと思ってるだろうしね。じゃなきゃ、こんなこと言わないよ。きっと、最後の手段だったのかも」

そうかもしれない。

柏「名無しさんに言わなかったあたりが、玲奈の強がり感がでてるよ」

そうだ。

『ありがとう。由紀。僕、一生懸命
働いて会いに行くよ』
柏「頑張って」

会いに行くだけじゃダメだ。
一緒にいたいんだから。
それから、僕はくる日もくる日も一生懸命にバイトした。
高校生にしては、頑張った。
大学も進学して、ちゃんとした職につく。
そして、待ちに待ちすぎただろってくらいの日が来た。

『大丈夫かな?いるかな?あれは、高校の時の話だし。第一、玲奈に恋人とかいたらどうしよう??』

今まで、全く考えなかったことが急に出てきた。
困った頭だまったく!!

「あ、あの、なんか家に用ですか?」
『あ、いえ、あの、決して怪しいものではなくですね』
「え、、名無しさん・・・?なんで?」

そこには、紛れもなく君が立っていた。
あの時よりは、大人っぽくなっていて、髪も伸びた気がする。

『玲奈!!』
玲「な、なんで・・・」

涙が溢れて止まらに君。

『由紀に聞いた』
玲「そっか。。よかった。でも、、、」
『でも・・?』
玲「一緒にいられないよ」
『なんで!?』

また、あの時と一緒。

玲「だって、私は!・・・へ?」

耐え切れなくなって、抱きつく。

『僕はずっと玲奈のことが好きなんだ!!あの時からずっと!!』

君は戸惑っていたけど、抱き返してくれた。

玲「私もずっと名無しさんのことが好き!!あの時から変わってない!!」

その言葉嬉しかった。

『玲奈がいなくなって、寂しくなった。玲奈じゃなきゃダメなんだ!他の子とは、付き合えない!君じゃなきゃダメなんだ!!』
玲「よかった。私もずっと同じ。名無しさんと同じ気持ち。名無しさんじゃなきゃ嫌なの」

気持ちは全然変わらない君と僕。

『じゃ、これから玲奈を連れ去ろうと思うんだけど』
玲「え、急だね」
『まぁ、そうだね』
玲「えと、一応待って欲しいな」
『一週間!』
玲「うーん。頑張る!」

それから、計画をたてて別れた。
久しぶりにあったのに忙しかったな。

『よし!!気合入れてくぞ!!』

一週間たった。
また、玲奈の家に向かう。
そろそろ着く、とメールを送る。
一週間前に交換したのだ。
あの日以来、僕を含めて全員が玲奈の連絡先が分からなくなった。
玲奈が変えたらしいからな。

玲「あ、その自転車」
『まだ動くんだ。何回も修理したからね』
玲「懐かしいなぁ」
『荷物少ないね』

三日分しかないんじゃないかって位のカバン。

玲「これから、増やしてくんだ。名無しさんと一緒に」

よいしょっと、後ろに乗る。

『じゃ、行くよ』
玲「うん」

発信する自転車。
あの時みたいに転ばないようにしないといけない。
今は、大事な君が乗ってるからね。

『親にいったの?』
玲「一応、手紙を、、、でも、準備してる段階で気づかれてたよきっと」
『何も言われなかったの?』
玲「うん。一言だけ、玲奈の好きにしたらいいって」
『すごいな』
玲「罪悪感、感じてるみたい」
『そっか』

僕は、二度と転ばないように慎重に自転車を漕ぎ続けた。
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