男性声優〜短編〜

□アナタ中毒
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朝、目が覚めるとアナタがいる。


『神谷さ〜ん、お仕事遅刻しちゃいますよ?』


私の彼氏である神谷浩史さんは、声優のお仕事をしています。


昨日は、深夜までアニメの収録で、帰ってきたのは明け方近く。


大人気声優だから仕方ないもんね。


「んーっ…まだ寝たい…」


神谷さんは枕に顔を埋める。


『全く…子供じゃないんですよ。起きて下さい!』


私は、神谷さんの体を揺さぶり、強引に起こそうとすると


「あと10分だけ…だめ?」


私を抱きしめて、耳元で囁かれちゃったら…


ドキドキしちゃって…


『っ、後10分だけですよっ』


ついつい、許しちゃう。


「やったぁ…ありがとー」


私を抱きしめたまま、眠りにつく。


『ちょっと、神谷さん!?』


「スースー…」


もう寝ちゃた…


神谷さんの腕の中って…


すごく暖かくて、落ち着くんだよね。


顔を上げると、神谷さんの顔が近くにある。


『…可愛い〜』


神谷さんの寝顔を間近で見とれていた。


しばらくしてから、神谷さんを再び起こす。


『神谷さん、もう起きて下さい』


「ん〜…イヤだ」


子供っぽく嫌がる神谷さんに、キュンとしちゃう。


『お仕事に遅刻しますよ?起きて下さい』


私は、神谷さんの腕の中から離れようとすると…


「まだ、こうしていたい…」


と言って、私を更に強く抱きしめる。


『わっ!?』


ぎゅーっと抱きしめられて…


耳元にかかる神谷さんの吐息…


『私だって、ずっと…こうしていたいんですよ…』


ぼそりと呟くと、神谷さんの力が緩み私を見つめて…


「顔、真っ赤…反則」


と呟いて、おでこにキスをする。


『なっ!』


神谷さんは、ベッドから出て着替える。


まだドキドキしている。


「ん?どうしたの?」


ぼーっとしている私に神谷さんが心配そうに聞いてきた。


『なんでもないですよ!』


「そう?」


神谷さんは笑顔で私の頭を撫でる。


−キュン!


この人と一緒に暮らして、もう一年は過ぎるのに…


ドキドキしてばかりで、キュンキュンしまくるで…



「行ってくるね?」


『うん、行ってらっしゃい』


笑顔で見送るけど…


アナタがいないこの部屋に1人ぼっちの私。
不安とかじゃないけど…


寂しいんだよ。


朝の短い時間でもアナタとラブラブしても…


夜、いっぱい甘えても…


全然足りないよ。


寂しさを紛らわす為に、神谷さんの曲を流す。


そうしなきゃ、ダメになっちゃいそう。


やっぱり、私はアナタ中毒かもね。




end

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